未来をつくる道具 わたしたちのSDGs

本作りの枠を超え。編集者が社会課題と向き合う

プロジェクト内容

2015年に国連で採択された世界共通の目標、SDGs(=Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)。ナツメ社様からの依頼を受け、学生からビジネスパーソンまで幅広い層にわかりやすくSDGsを伝えるための、SDGs入門書を編集しました。

また、本作りの枠を超えて、編集者が社会課題と向き合い、SDGsの普及や理解促進に貢献するというプロジェクトにもなりました。

未来をつくる道具 わたしたちのSDGs
タイトルには、「自分ごと」としてSDGsと向き合ってもらいたい、という著者の思いが込められている

提示された課題

政府も、企業も、自治体も、何かとSDGsを打ち出している昨今ですが、SDGsの理解・普及はまだまだ進んでいないのが現状です。

「SDGsは聞いたことがあるけれど、いったい何のこと?」

「会社でSDGsを推進することになったのだけど、何をしたらいいかわからない」

「SDGsって壮大すぎて、自分にできることなんてない気がする」

このような人たちが、SDGsの本質を理解し、「自分ごと」としてとらえ、毎日の暮らしを見つめ直し、自らの行動につなげていくことができる。それが本書で目指したことです。

©UN Photo/Cia Pak
2015年9月25日、SDGsが記された国連文書「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択された
©UN Photo/Cia Pak
2015年9月25日、SDGsが記された国連文書「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択された

問題解決への道筋

SDGsに関する書籍はすでに数多く出ています。本書では、読者がSDGsの本質を理解し、いかに「自分ごと化」してもらえるかがカギでした。

まず、著者の講演内容をベースに「著者自身の言葉で読者に語りかける」テキストに。また、紹介する事例は著者自身が関わっている、または思い入れがあるものを選定。そのことによって、著者の熱意やメッセージがダイレクトに伝わる効果を狙いました。また、SDGsをより身近に感じてもらい、さまざまな角度からとらえられるよう、規模や主体組織、地域にバリエーションをもたせ、多様な事例を紹介しました。

川廷さんの熱のこもった講演に感銘を受け、執筆依頼をすることに

ここで本作りの枠を超えた動きが起こります。

SDGsには、17のゴールと、さらに詳しい169のターゲットが設定されているのですが、外務省仮訳の日本語はわかりづらいものでした。そこで、外務省仮訳を見直して「新訳」を制作することにしました。

当初、この「新訳」は本書の掲載用として考えていました。しかし、著者と相談して進める中で、「読者以外にも共有して、誰にでも活用されるものにしよう」ということに。しっかりとした新訳を作り、広く普及させるために、「新訳制作委員会」が結成されました(委員長はSDGs研究第一人者の蟹江憲史さん、副委員長は著者の川廷昌弘さん)。弊社編集・小島まき子も委員となり、制作をリードし、有識者の方々の協力を得ながら、数か月かけて新訳を完成させました。


著者の川廷さん(右)、Think the Earthの上田壮一さん(中央)SDGs.TVの水野雅弘さん(左)にご参加いただいた新訳制作の第1回編集会議(2020年3月23日開催)。この後の編集会議はオンラインで行った

「新訳の制作にはかなりの時間と労力を費やし、苦労しましたが、もともと英語が好きなので、英文を読み込んで適切な日本語表現を考えるのはおもしろかったですし、大いに勉強になりました」(弊社編集・小島)
このプロジェクトでは、本というメディアを超えて、本気で社会課題と向き合う動きに“編集者”が参加し、リードできたという点にも価値があります。新訳は関係ウェブサイトからダウンロードが可能です。ぜひご活用ください。

ターゲットの新訳はポイント解説とともに掲載

制作のポイント

SDGsの17ゴールアイコンのように、デザインの統一性をもたせカラフルで親しみやすい誌面に。著者の語りかけを重視していたので、似顔絵イラストも随所に掲載しています。

各チャプターの導入ページは、写真を大きめに入れ、著者および読者ペルソナのイラスト+吹き出しで取っ付きやすさを演出した


各ゴールの事例紹介ページもビジュアルにこだわった

また、著者が写真家でもあるので、本書のイントロダクションは著者の写真を大きく用いて視覚的に読者に訴えかけるページにしました。

見開き全面敷きの写真が目を引くイントロダクション

さらに、カバーデザインにもこだわりました。SDGs 17ゴールのロゴ・アイコンをデザインしたスウェーデンのデザイナー、クリスティーナさんにデザインを依頼。17ゴールのアイコンに使われているピクトを配したカバーデザインを作成していただきました。17ゴールアイコンのピクトを自由に使えるのはクリスティーナさんだけ、つまり、ほかのSDGs本ではそのような表紙は不可能なので、おそらく世界で唯一のカバーデザインです。

海外のデザイナーさんにお願いするのは初めてだったので、予算や工程などの調整には時間をかけました。

17ゴールのアイコンに使われているピクトを配した表1デザイン。表4にはクリスティーナさんのメッセージを掲載

プロジェクトの概要

■発行日 2020年10月1日

■クライアント ナツメ出版企画株式会社(発行:株式会社ナツメ社)

この記事を書いた人