「TOKYO WHISKY & SPIRITS COMPETITION」に行ってきました!

こんにちは編集第2グループの石川瑞子です。お酒関係をはじめとした実用書や国内ガイドブックなどを担当しています。以前、私が編集した『ウイスキー完全バイブル』(ナツメ社)にてウイスキー評論家の土屋守氏に監修していただきました。そのご縁で、土屋氏主宰の「ウイスキー文化研究所」が企画・運営する日本初のウイスキーとスピリッツのコンペティション「TOKYO WHISKY & SPIRITS COMPETITION(略:TWSC)」の審査会場に行ってきました。当日のコンペ審査風景をレポートします。(公開:2019年4月19日/更新:2022年1月25日)

TOKYO WHISKY & SPIRITS COMPETITION
日時:2019年3月11日(月) 13:00〜17:00
12日(火) 10:00〜19:00
会場:EBiS 303 イベントホール
(東京都渋谷区恵比寿1-20-8)
企画・運営:ウイスキー文化研究所
主催:TWSC実行委員会

近年、ウイスキーが熱い!

戦後の高度経済成長期を支えた「お父さん」たちの飲み物として隆盛を誇ったものの、やがてワインブームや焼酎ブームに圧され、さらに若者たちのアルコール離れも相まって、衰退の一途をたどったウイスキー。
国税庁の「酒類販売(消費)数量の推移」を見ると、1989年度には23万3000㎘でしたが、2008年には7万5000㎘と、3分の1以下にまで落ち込んでいました。

そんななか、2009年には8万4000㎘と増加に転じます。そして、2017年は16万㎘と、この10年で2倍以上に増えているのです。
ウイスキー人気が高まった要因としては、ひとつに「ハイボール」人気があります。このあたりは大手ウイスキーメーカー、サントリーさんが火付け・牽引していますね。2014年に放送の、ニッカの創業者・竹鶴夫妻をモデルにしたNHK連続テレビ小説『マッサン』もブームを盛り上げる一翼を担いました。ちなみに、このドラマのウイスキー監修をしたのは、前述の土屋守氏です。

▲審査中のテーブルを見回る土屋守氏

そして、日本…というより、世界に「ジャパニーズウイスキー」の素晴らしさを知らしめたのが、本場イギリスで毎年開催される「インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ(ISC)」や「ワールド・ウイスキー・アワード(WWA)」といった権威ある国際コンペティション。このコンペに日本のウイスキーが次々と好成績を収めたことが、ジャパニーズウイスキーの世界的な人気につながったのです。

前置きが長くなりましたが、「ウイスキーとスピリッツのコンペティションを日本でも」と、ウイスキー文化研究所の企画・運営で始まったのがこのTWSCなのです。
土屋氏が「なぜ日本でコンペティションを始めようと考えた」のかは下記の記事をご覧ください。

『日本初の「ウイスキー&スピリッツ品評会」が世界最高レベルを狙える、これだけの理由』

ついに結果発表!

審査が行われたのは、3月11・12日の2日間。出品企業約100社。世界中から集まったアイテムは550品以上。
審査するのは、日本全国から駆けつけたウイスキーとスピリッツのプロフェッショナルおよそ180名。6名1テーブルに分かれ、1名あたり3時間で最大21種類のアイテムを審査します。

▲出品アイテムは、蒸留所名(メーカー名)や銘柄名、貯蔵年数などの情報は一切知らされず、割り振られた番号だけで審査。右は審査員が点数を書き込むジャッジペーパー

審査方法は、ブランドなどの情報が全く知らされずに行うブラインドテイスティング。アロマ30点、フレーバー40点、フィニッシュ・バランス・総合30点、合計100点満点で点数をつけて集計・審議し、「ジャパニーズウイスキー」「スコッチウイスキー」「ラム」「ジン」といったカテゴリー別に、最高金賞、金・銀・銅賞、特別賞などを決定します。
そして4月上旬に、公式サイトにて最高金賞・金・銀・銅賞が発表されました。

▲最高金賞と金賞受賞商品。銀賞・銅賞・特別賞など、詳細をご覧ください。

見てみると「なるほど!」といったブランドばかり。
しかし、例えばサントリーの「山崎」でも、12年が最高金賞で、18年が金賞。希望小売価格で言えば、12年は8500円、18年は2万5000円。
もちろん、価格などの情報が知らされない審査方法なので、「コスパがいい」は理由になりません。味と値段はあまり関係ないのだな、と思いました。もちろん、好みもあるとは思いますが…。
ちなみに、12年、18年というのは樽熟成年数。年数が高いほど希少価値は上がるので、値段も当然上がります。

▲審査中の様子。ひとつひとつ丁寧に点数をつける

ウイスキーフェスや撮影(役得!)で、今まで何度かウイスキーの飲み比べをしたことがあるのですが、原料も作り方も大して変わりはないのに「なぜ、こうも様々な味になるのか」と思います。のめり込む愛好家の気持ちもわかります。純粋に味だけで審査されていると分かれば、造り手さんたちもチャレンジし甲斐があるのではないかと、コンペ審査風景を見ながら勝手に思いました。

さて、この「東京ウイスキー&スピリッツコンペティション」の受賞パーティーが行われるそうです。受賞者や審査員、関係者だけでなく、一般の方向けにもチケットが販売(1万円)されます。ビュッフェ形式の料理のほか、ウイスキー&スピリッツ約300種類が試飲できるそうです。300種類が試飲できるというのは、かなり貴重な経験だと思います(何種類飲めるかは、ご自分の体と相談のうえ自己責任で)。
20歳以上の方なら、どなたでも参加可能です。
ウイスキーファンの皆様、ぜひともいかがでしょうか?

日本初のウイスキーとスピリッツの品評会
「TOKYO WHISKY&SPIRITS COMPETITION 2019」
授賞パーティー

日時:2019年6月8日(土) 16:00〜19:00
チケット販売価格:1万円(税込)
会場:ホテルグランドパレス
(東京都千代田区飯田橋1-1-1)
アクセス:東京メトロ、都営新宿線 九段下駅7番口(富士見口)より徒歩約1分

●文= 石川瑞子(アーク・コミュニケーションズ
●撮影= 清水亮一(アーク・コミュニケーションズ
●編集= 魚住陽向フリー編集者、小説家