酒場好き編集者が発見! 東京近郊 これはスゴイ酒場だ! 第1弾

アークの酒飲み担当・編集第5グループの富樫(とがし)です。今年(2019年)10月に発売された昭文社ムック『白昼堂々! 東京極楽酒場』を編集担当をしたこともありますが、普段から居酒屋さんに行く機会が多く、肝臓が心配です。今日は(も)ちょっとしたご縁からスゴイ酒場を見つけたのでレポートします。
★桑原商店さんが[GOOD DESIGN AWARD 2021]グッドデザイン賞を受賞されました。おめでとうございます。(公開:2019年12月19日/更新:2021年10月25日)

五反田の「進化形角打ち」

「角打ち(かくうち)」はご存じでしょうか? ずばり、酒店の中で飲酒を楽しむことで、酒飲み界隈ではポピュラーなワードです。昔、居酒屋がなかった時代に、酒店の店先に立ちながら飲んでいたことから始まったといいます(諸説あり)。酒のプロフェッショナルが選ぶ個性的な酒たち、ユニークな酒瓶などを眺めながら飲む酒はまさに格別なのです。

「いやいや、店の中で飲むなんて敷居が高すぎる」って? そんな方におすすめしたいのが、五反田にある「桑原商店」さん。内装がオシャレ、かつ、レアな日本酒が揃い、さらには、新しい人との出会いがあると、三拍子そろった進化形角打ちなのです。当ブログでも度々登場するアーク写真室のカメラマン清水さんの同級生が経営しているとのことで、早速飲み取材に行ってきました。


▲コンクリート打ちっぱなし×酒ケース=ぱない! 内装はご家族総出でセルフリノベーション

ここ「桑原商店」は元々、酒販店「常徳屋」として大正4年に創業。長年倉庫として使っていたスペースを4代目の桑原康介さんが改装し2018年12月にオープンさせました。店先に着くと「ここ酒屋?」ってほどオシャレ。店名と住所だけなのに、そこはかとないセンスが光るネオン管の看板と、「酒」と描かれたレトロな看板の組み合わせに秘密基地感が漂っています。

内装もこれまたオシャレ。酒ケースを利用したテーブルはもちろん、コンテナを重ねたテーブル(しかも大理石を使用)もおもしろい使い方。さらに、壁面には現代アート作品が飾られ、ちょっとしたギャラリーのよう。こんなにオシャレなのには理由があり、店主の桑原さんはギャラリー運営や「瀬戸内国際芸術祭」などにも携わったアート・デザイン畑ご出身。今でも様々なアート企画に携わり、自由が丘でギャラリー「gallaery to plus」も営んでいます。


▲特注の冷蔵ケースにアート作品のように並ぶ日本酒たち

そして日本酒。桑原さんとつながった酒蔵を中心に、全国各地から約200種類をラインナップ。LEDを使った冷蔵庫に、蔵人や生産者がこわだって造った日本酒がアート作品の様に並んでいます。地元でしか出回らないようなレアな銘柄も入荷するとか。それらの日本酒は週替わりで約40種類が選ばれ、店内の飲食スペースで楽しめます。30・60・180mlのサイズが選べ、気軽に飲み比べができるのも嬉しいポイント。


▲当日飲んだのは「Beau Michelle」という華やかな銘柄。長野県佐久市にある酒蔵「伴野酒造」の銘柄

気になる食事は、各地の特産品をアレンジしていて、小料理屋レベルの酒が進むものばかりです。さらに味を引き立てるのが酒器と食器。能作や有田焼など国内プロダクトを中心にセレクトされています。


▲さっぱりとした「小鯛笹漬け」がこれまたうまい。下関産のあん肝を使った「あん肝の味噌漬け」もよかったです

酒と、人に出会う

「桑原商店」が従来の角打ちと異なると思うのは出会いの場ということです。当日も某大手雑貨専門店の方々が来ていたりと、桑原さんとつながりがある人たちが集うため、「初めて会ったけど飲んでいたら仕事になっていた」なんてこともあるそうです。


▲店主の桑原康介さん。「酒を飲む場所ではなく、出会いの場としてここを作りました」

いろんな酒場取材をしてきましたが、他の酒場とは異なる境界線にある店だなと感じました。酒が飲めればいいと思い酒場に通っていた自分が恥ずかしい……。有り体な言い方ですが、日本酒に興味がある・角打ちチャレンジしたい・仕事が欲しいという方に、ぜひ行ってもらいたいところでした。

桑原商店
営業時間:月〜土 10:30〜21:00ごろ
(飲食17:00〜21:00L.O.)
※土曜日の開店時間は変更になる場合があります
定休日:日曜、祝日
ULR:http://to-plus.jp/
住所:東京都品川区西五反田2-29-2
アクセス:JR五反田駅西口から徒歩4分、JR山手線・都営浅草線 五反田駅西口より徒歩約4分、東急池上線 大崎広小路駅より徒歩約3分


※ちなみにアークは『東京極楽酒場』というムック本を制作しています。よければご覧ください(宣伝)

昭文社ムック
『東京極楽酒場』
詳細→https://www.ark-gr.co.jp/works/tokyo-gokuraku-sakaba/


●文= 富樫政友(アーク・コミュニケーションズ
●撮影= 清水亮一(アーク・コミュニケーションズ
●編集・WordPress= 魚住陽向フリー編集者、ライター、小説家)