※一部、地震などの災害を想起させる画像があります。ご注意ください。
皆さん、災害に向けて備えていますか。地震大国といわれる日本でも、最近特に自然災害が増えていると思います。防災情報はテレビやインターネットなどで目にしていたり、ちゃんと物資も備えている、という人も「首都圏直下型地震」に対する防災訓練は体験したことがないのではありませんか。そこで今回、東京・有明にある国営の「そなエリア東京」に行き、防災体験学習してきました。「防災の日」以外でも、いざという時のための学習・体験は重要です。(公開:2024年8月29日)
防災の日は毎年9月1日。これは1923年(大正12年)9月1日に発生した「関東大震災」にちなんだもの。また、1956年(昭和34年)9月26日の「伊勢湾台風」により、戦後最大の被害を被ったことが契機となり、地震や風水害等に対する心構え等を育成するため、1960年(昭和35年)に防災の日が創設されました。この日は、「政府、地方公共団体等関係諸機関をはじめ、広く国民が台風、高潮、津波、地震等の災害についての認識を深め、これに対処する心構えを準備する」ために制定された防災啓発デーです。
「地震が起こったらどうする?」を体験!
最近、多くなっている地震だけでなく、台風や地滑り、川の氾濫など自然災害は思ったよりも身近な恐怖です。今や、「ここなら安全」という地域はないに等しいと考えた方が良いでしょう。
そして、災害は当然のことながら突然やってきます。「首都直下地震は令和4年以降30年以内に70%の確率で発生する」と予想されていますが、はたしてどれぐらいの人が危機感を持っているでしょう。ある程度の防災グッズは揃えている人は多いと思いますが、一番怖いのは「心構えがないこと」ではないでしょうか。
突然、大音量でスマホから鳴り響く地震アラート。これを聴いて冷静さを欠く人は多いはず。なかなか慣れませんし、慣れちゃいけないと思います。そのうえで、実際に身体を動かす避難訓練は大切だと考えます。
もしもの時を考え、避難訓練がしたい!
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そんな時に友人と地震の話になりました。
「小学3年生の息子と『地震が起きたら、とっさにどうする?』という話をしていて、実際に体験や避難訓練をさせたいなと思っていて」
聞けば彼女は、数年前の台風の際、区が設定した避難所に「家族で避難してみた」というのです。避難所までの道順・家族と避難する道のりの確認・実際に避難所に一泊して寝てみた時の実感。この体験はとても大きかったと言います。やったことがあるのとないのでは大違いです。今後はペット同行避難を視野に入れているようです。
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ですから、私の「そなエリア東京という防災体験学習施設があるみたいなんだけど、一緒に行かない? 息子さんの夏休みの自由研究にもいいんじゃないかな」という言葉に即決・即答したのだと思います。
そなエリア東京とは、東京臨海広域防災公園(日本唯一の国営防災公園。国土交通省管轄)内にある防災体験学習施設です。災害後の支援が少ない時間を生き抜く知恵を学ぶ防災体験学習ツアー「東京直下72hTOUR」では被災地や避難所の様子を再現した実物大のジオラマ展示があります。また、首都直下地震について「なぜ起きるのか?」「いつ、どのような被害想定なのか」を紹介する首都直下地震特設コーナー、地震発生後を生き抜くヒントや備えたいグッズの紹介、そなえカフェなど防災情報がたくさん学べます。入場無料。※詳細は記事末へ。
というわけで、2024年の夏休みに、写真撮影係となり、東京都在住の主婦Uさんと息子のリュウくん(小学3年生)とともに防災体験し、学んできました。「顔を隠せば画像掲載もOK」という許可ももらっています。ちなみに、フラッシュ撮影禁止ですので、暗がりになると手ぶれ写真が増えますのでご了承ください。
壊れた街で暗がりを進む「東京直下72hTOUR」
[そなエリア東京]に入場すると1階は「防災体験ゾーン」。まずはこの施設の目玉体験で話題の「東京直下72h TOUR」の受付をしましょう。施設全体の受付はありませんし、入場無料ですが、「東京直下72h TOUR」だけは予約受付があります(これも無料)。だいたい1時間に1回程度実施。スタート時間になると声がかけられ、受付済みの参加者が集まってきます。
お借りしたタブレットを片手に、ツアーガイドさんの説明・誘導で、いよいよスタートです。スタート地点の設定は「ココは映画館が入ったビル(シネコン)の10階です。映画を観終わった皆さんはエレベーターで1階へ向かいます」というもの。
このツアーでは、タブレット端末に防災クイズが出題されます。簡単な○×クイズに答えながら進んでいくのです(ちなみに、タブレットごとにクイズの内容が異なるので、端末は1組に1台なのか、1人に1台なのかで進み方も違ってきます。どちらのパターンでもタブレットを貸してくれます)。我々はタブレットをリュウくんに1台持ってもらうことにしました。しっかり夏休みの自由研究にしなきゃね!
ガイドさんの誘導で参加者だけ乗せられたエレベーター内で突然、ガクンと停止して、照明が暗くなったところから本当のスタート。
さあ、ビルのエレベーター内で地震が起こりました。あなたはどう行動しますか?
ビル内を脱出して、街に出ると、そこは壊れた街が広がっています。暗がりの中、サイレン音や緊急ニュースが聞こえてきます。所々に見える商店や住宅の室内は家具が倒れ、物が散乱してグチャグチャ。火災が起こっているのも見えます。
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これは音響、照明、映像によって余震が繰り返される1分の1のジオラマ。タブレット端末で出されるクイズで注意事項を確認しながら公園などの避難場所へ移動します。
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当然、作り物だとはわかっていてもかなりドキドキします。地震が起こることがわかっていても(実際の揺れ体験ではありません)とても焦ります。映画のセットのような1分の1ジオラマはよくできていて、臨場感たっぷり。
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だから、簡単そうな○×クイズなのにかなり間違えてしまいます。子どもだけでなく大人も知らないことがいっぱいあって、勉強になりました。体験しているのと、していないのでは大違い。いざという時のために一度慌てておいた方が良いと思います。
「被災地」を進み、「再現避難場所」「再現避難所」に到着したら、避難しての様々なことを学習できます。地震がどうやって起こるかというメカニズムだけでなく、「津波避難体験コーナー」で津波についての知識も身につけられます。
撮った写真はたくさん公開しますが、ここで文字による詳細情報をお伝えするのは控えます。何故なら、実際に足を運んで体験してほしいからです。一度だけでなく何度でも体験学習してほしいと思います。
多様性の備え方を可視化
2階の「防災学習ゾーン」では、いざという時の備えを学ぶことができます。
まずは「きほんのそなえ」エリア(災害時の状況やタイミングに合わせた備え)があります。そして、ただ「備えよう」「防災グッズを揃えておこう」と言っても人によって事情は様々。そこで、人それぞれの特性や暮らしに合わせた備え「一人ひとりのそなえ」エリアがあるのです。言うなれば、多様性の備え方が目に見えて、学びやすくなっています。
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他にも特設の映像ホールでは、大型プロジェクターにて、2009年にフジテレビほかで放送されたアニメ「東京マグニチュード8.0」(この作品は、平成21年度(第13回)文化庁メディア芸術祭アニメーション部門において優秀賞を受賞しています)をこの施設用に再構成した18分バージョンで上映しています。英語字幕付き。
途中、何度もうるうるしてしまいました。18分に再構成してわかりづらくなっている場面も若干あるので、DVDやBlu-rayでも観てほしいと思います。
また、「首都直下地震特設コーナー」「事例に学ぶ自助の知恵コーナー」「オペレーションルーム見学窓」「防災グッズ展示」などがあり、とことん防災を学んできました。
ここ「そなエリア東京」はいたずらに危機感をあおるのではなく、「災害をイメージする力と対応力を身につけることで災害への備えに繋がる場所」であることを実感しました。
余談ですが、「そなエリア東京」施設内やチラシでの可愛くて親しみやすいイラストは、寄藤文平さん(よりふじ・ぶんぺい/アートディレクター、グラフィックデザイナー、イラストレーター)によるもの。東京メトロのマナーポスター「家でやろう」シリーズなど見たことある人も多いはず。また、こういう新感覚絵本『白黒つけないカフェオーレ』も出されていて、「え!この素敵なキャラクターを描いたのはこの人なんだ!」と驚きです!カワイイ〜♪
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さて最後に、1階に戻り、「そなえカフェ・休憩コーナー」で売っている防災グッズを購入して、この防災体験学習を終えます。しかし、これで終わりではありません。一度体験したからといって、これで満足してしまってはいけないのです。
例えば、防災グッズは購入したらしまっておいてはいけません。ちゃんと実際に使ってみましょう。この売店では、「折りたたみ式ヘルメット」も売っていました。例えば、ちゃんと封を開けたり、かぶってみたりして、実際に使い方を知りたいものです。
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また、「7年保存水」やカンパンだけでなく、ご飯ものやパンなど年々おいしくなっている防災非常食もたくさん販売されています。最近の非常食の保存期間は長期化していますが(ニュースで25年保存可能な保存食を見ました)、こちらも購入したら終わりではなく、賞味期限はこまめにチェックしたいもの。賞味期限が近くなったら、ちゃんと賞味して、また新たに購入しましょう。
少し話は変わりますが、パンの缶詰に関して (株)パン・アキモトによる「救缶鳥プロジェクト」(第5回グッドライフアワード 環境大臣賞最優秀賞)という活動もあります。
これは、賞味期限3年半の「パンの缶詰」を、半年から1年間の賞味期限を残して回収し、国内外の災害被災地、飢餓や食糧難問題を抱える国と地域に届ける取組み。家庭・個人や自治体、企業、学校など、あなたがもし3年半保存のパンの缶詰を購入し、何事もなく食べる機会がなければ2年半後に回収案内が来ます。回収されたら世界の災害や飢餓で苦しむ国や地域に運ばれます。食べ終えた缶はそのまま食器として使われます。つまり、あなたが寄付したことになるのです。プロジェクトを継続するかしないかも選択できます。
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今回、「そなエリア東京」での防災体験学習によって、私自身強く防災活動を想起するきっかけにもなりました。
必要以上に今から怖がることもありませんが、防災の日をきっかけに、「備える」ことの重要性を思い出して、防災グッズや非常食なども見直してみてほしいと思います。
何より一度、「そなエリア東京」に行って、防災体験学習してほしいと感じました。
この施設では、今回のような親子だけでなく、学校のクラスや部活動、企業や組合、大学のサークル、マンションの住民、町内会など、どのような団体単位(10名以上)でも予約すればOK。50名を超える人数でも対応可能なので早めに事前予約してください。子どもだけでなく、大人こそ、知っておく情報や体験しておく備えがいっぱい詰まった施設です(本記事は東京臨海広域防災公園 管理センターに公開許可をいただきました。ありがとうございました)。
今年も9月1日、防災の日がやってきました。
どうぞ皆さん、ご安全に。
■防災体験学習施設[そなエリア東京]
利用時間:9:30〜17:00(入場は16:30まで)
休館日:月曜日(月曜が祝日の場合は開館し、翌日休館)
※年末年始や臨時休館日がありますので公式サイトにてご確認ください
入場料:無料
●個人・家族での来場(9名以下)の場合、電話予約は不要!
※「東京直下72hTOUR」(1時間に1回程度実施)参加希望者は来場してから予約・受付のこと
●団体(10名以上)での来場の場合は予約ページからの予約が必要!
お問い合わせ:東京臨海広域防災公園 管理センター
TEL:03-3529-2180
URL:https://www.tokyorinkai-koen.jp/sonaarea/
住所:東京都江東区有明3-8-35
アクセス:ゆりかもめ 有明駅より徒歩約2分、りんかい線 国際展示場駅より徒歩約4分
※この施設に駐車場はありません
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