松苗あけみ、きたがわ翔…画廊系マンガ原画展や北九州市漫画ミュージアム[文月今日子展]が大人気の理由は?

▲くだん書房(東京・神田神保町)での「木村晃子原画展」

こんにちは。「アークのブログ」編集部の魚住(元マンガ誌の編集者)です。普段からマンガ好きで、最近よくマンガ原画展に行きます。どこも大人気&大盛況ですね。今回は「きたがわ翔」「木村晃子」「松苗あけみ」「清水玲子」「文月今日子」(敬称略)といった少女マンガ界を支えてきたマンガ家さんたちの原画展を、許可をいただいて紹介します。また、原画展を企画・開催している古本屋「くだん書房」さんやプロのマンガ家さんにも原画展についてうかがいました。もちろん、画像は撮影OKのものを掲載。記事末には今後の開催情報もあります。(公開日:2024年2月2日)

令和6年能登半島地震により犠牲となられた方々に深く哀悼の意を表するとともに、被災された皆様、ならびにそのご家族・関係者の皆様に心よりお見舞い申し上げます。
また、被災者の救済と被災地の復興支援のためにご尽力されている方々に深く敬意を表します。皆様の安全と、被災地の一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。

マンガ原画展が大盛況な理由

今回は、主に東京都内で、2022年〜2023年に開催された画廊系マンガ原画展(後半で美術館開催のマンガ原画展も紹介)の様子やマンガ家のねもと章子さん(大阪芸術大学短期大学部デザイン美術学科准教授)の感想などを紹介します。また、開催する側として、くだん書房の藤下真潮さん、マンガ家のきたがわ翔さんや木村晃子さんにもお話をうかがっています。やはりアナログな手描き原稿の良さが際立つお話が聞けました。ちなみに普段、私はマンガ家さんを「○○先生」と呼びますが、この記事では「○○さん」で統一させていただきます(ご本人コメントは除く)。

マンガ原画展はコロナ禍明けにぐっと増えてきた感があります。もちろん、コロナ禍より以前にも開催されていましたが、やはり2023年になってから一気に増えました。

■松苗あけみ原画展
[東京]吉祥寺リベストギャラリー創 [MAP]
2023年8月25日〜9月6日

松苗あけみ(まつなえ・あけみ)
1977年、「リリカ」4月号『約束』でデビュー。その後は「ぶ~け」に活動の場を移し、82年に『純情クレイジーフルーツ』を発表。他にも『山田くんと佐藤さん』、『カトレアな女達』など代表作多数。
新刊書籍『総特集 松苗あけみ 少女マンガをデザインする』
『桜の如き君を愛す 松苗あけみ単行本未収録作品集』

松苗あけみさんの原画展は、書籍『総特集 松苗あけみ 少女マンガをデザインする』『桜の如き君を愛す 松苗あけみ単行本未収録作品集』の発売記念。意外にも画業46年間で初めての開催です。大盛況&満員御礼でした。「ぶ~け」(集英社)の表紙イラストなど、カラーイラストの数々が展示され、原画やオリジナルグッズも販売。会期中はご本人がほぼ毎日4時間ほど在廊し、サイン会が開かれました(整理券配布)。感激で涙する人続出です。

「松苗あけみ先生の絵柄はとにかく華やかです。ギャラリーに並ぶとパッと明るくなる。カラー原稿のきれいさ、その巧さは昔からバツグンです」(くだん書房・藤下さん)
私も感激してSNSに、その模様を投稿したところ、宮城県女川町に住む長年のマンガファンが激しく反応。彼女から伝言を預かっています。
「地方も巡回して欲しいですー!
この声が松苗あけみさんに届いてほしいです。多分、全国各地で同じようなことを思っているファンが多そうですね。まずは、仙台での開催をお願い致します。

▲画像は左右にスライドできます

さて、最近、マンガ原画展の開催が多く、人気も高いように感じます。どういった人が集まっているのでしょう。
「こちらで開催しているマンガ原画展のお客さんの年齢層は40代後半〜60代が圧倒的に多いと思います。もちろん、30代や70代もいます。でも、世代的には自分が昔、読んでいたマンガを懐かしんだり、当時の自分を思い出したりといった人たちが中心でしょう」(くだん書房・藤下さん)

確かに原画展の会場は、どこも落ち着いた雰囲気です。私が少しだけお手伝いさせていただいた「木村晃子原画展」は東京・神田神保町の東京古書会館で行われたせいなのか、少女マンガの原画展でありながら観に来た方々の6〜7割はアラフィフやアラ還の「おじさん」でした(もちろん、私のようなおばさんも!)。

「自分自身のキャリアは40年を超えましたが当時の読者と一緒に年齢を重ねた気がします。その読者さんたちが当時を懐かしんで観に来てくれたんだと思います。私も原画展開催は初めてだったのでお客さんが来てくれるか不安でしたが、原画展が始まったらたくさんの人が観に来てくれて、お話できて、とても嬉しかったですね」(木村晃子さん)
「いろんな面で余裕が出てくる世代です。経済的な部分だけでなく、人生の中でも仕事や生活にも時間的・精神的な余裕が生まれ、昔、自分が好きだったものを振り返るのでしょう」(くだん書房・藤下さん)

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現在では、少女マンガ・少年マンガといったジャンル分けは制作・流通のためのカテゴライズに過ぎなくなってきました。読者側の性別・年齢関係なく読まれて、大ヒットしているマンガも多いのです。しかし、昭和40年代から平成の初めぐらいまでは「少女マンガは少女が読むマンガ」と決めつけられ、少女マンガが好きな少年や青年は隠れて読んでいた時代なのです。知られると陰口たたかれたり、偏見の目で見られたりしたものです。もともとは手塚治虫や石ノ森章太郎といった巨匠が切り拓いた分野でもあり、少女マンガとカテゴライズされていても、恋愛マンガだけでなく、歴史・サスペンス・ミステリー・スポーツ・ファンタジー・冒険・社会派・哲学などと、物語の方向性は様々だったんですが。

ちなみに私は少女でしたが「少年マンガと別マと白泉社のマンガ」を読んで育ちました。昭和50年代に入るとエンタメのジャンルがもっと細分化されていき、音楽においても一見共通性のない「さだまさし」とパンクロックが大好きという人も多く出現してきました。多様化は始まっていたのです。

話をマンガに戻しますね。当時、少女マンガを隠れて読んでいた世代は、隠れて読んでいたからこそ、記憶に焼き付いているのだと思います。そして、いろんな面で余裕が出てきたからこそ、当時の記憶が鮮明に甦ってくるマンガ原画展に足を運ぶのでしょう。

■きたがわ翔 原画展2023 〜 髪 〜
[東京]吉祥寺リベストギャラリー創 [MAP]
2023年6月30日〜7月10日

きたがわ翔さんは、イベント業者等に頼らずに、ご自身でマンガ原画展を開催されています。原画展を初めて開催したのは2019年のこと。
「それまでマンガ家が自分自身で原画展をやるって考えはなかったんです。たまたまお会いした手塚るみ子さんに勧められたんですよ。神の娘に『どうですか?』って言われたら、もうやるしかないじゃないですか(笑)。上條淳士先生にも『原画展はきたがわ君に絶対合うよ』って言ってもらって」(きたがわ翔さん)

きたがわ翔さんの場合、開催は年に2回(6月頃に東京/11月頃に大阪)。
「1年のうち、2回。東京と大阪で開催というのが距離的にも時期的にもバランス良いかなと思っています。これ以上、会期と場所を増やすのも自分のリズムが崩れそうなので。東京・吉祥寺にあるギャラリー創は手塚るみ子さんに、大阪のギャラリー(2020年から)は萩岩睦美先生にご紹介いただきました」(きたがわ翔さん)

■きたがわ翔 原画展2023 〜 髪 〜
[大阪]Gallery La Campanella [MAP]
2023年11月3日〜11月9日

「きたがわ翔先生の原画は緻密で本当に美しいです。デジタルに移行するマンガ家さんが多いなかで、よくぞ手描きにこだわってくれましたという感じです。もう素晴らしい技法ですね。描くのが本当に好きなんだなというのが伝わってきます」(くだん書房・藤下さん)

きたがわ翔さんの場合、1回の原画展は1週間から10日間ほど。そこで、新作のカラーイラストがお目見えとなります。これはもうファンによる争奪戦なのです。また、カラー色紙に新しく描くイラストは15〜20枚ぐらい。最近は「小さなカラー色紙の方が手が届く(お手頃価格)」というファンが多いそうで、こちらも原画展が始まるとあっという間に「売約済み」になってしまいます。

▲画像は左右にスライドできます

こういった原画展は「緻密に描かれたマンガ原画が間近でじっくりと観られること」が良さの一つです。ところが、近年、マンガ原画展の盛況ぶりにあやかってか、「偽物が、原画展と銘打って無許可で開催されている」らしいのです。飾られているのはコピー。コピーのコピーのことも。最近のカラーコピーは精度も高くキレイで、実際、出版社やマンガ家さん公認で「複製原画展」として開催しているケースもありますが、無許可で開催して、入場料をとり、無許可で作ったグッズで儲けようなんて、詐欺です。犯罪ですよ。マンガ好きの皆さんには本物かどうか見極めてほしいと思います。

山田玲司さんときたがわ翔さんの即席「れいとしょう」が始まってしまい、お客さんは耳がダンボ状態(笑)

●きたがわ翔(きたがわ・しょう)
1981年、少女誌「別冊マーガレット」(集英社)で13歳の時にデビュー。86年から「週刊ヤングジャンプ」(集英社)をはじめ、講談社、角川書店などあらゆるジャンルのマンガ誌へ活動の場を広げる。『19』『B.B.フィッシュ』『ホットマン』(集英社)『刑事が一匹』(講談社)『デス・スウィーパー』(角川書店)など代表作多数。また、『プロが語る胸アツ「神」漫画1970-2020』(集英社インターナショナル新書)YouTube「山田玲司のヤングサンデー」内の『【漫画家による極限の漫画分析】れいとしょう』でもマンガの歴史や分析を分かりやすく解説。
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マンガ原画展が本物で、ちゃんとマンガ家ご本人に許諾されているかどうかの見極めはどうしたらいいのか。それは次の2点に尽きると思います。

・マンガ家ご本人の在廊日がある。または、マンガ家ご本人によるサイン会が実施される(在廊予定がなくても出版社や連載誌の編集部などにより原画展特設公式アカウントでの告知がある)。
・新作のイラストがある。もしくは、新刊が発売される(新刊発売記念原画展のことも)。

「新しいグッズ販売」のみだと、かなり怪しいと思います。今どきは誰でもグッズは作ることができますし。それに、マンガ原画展に訪れる客層には、グッズはそんなに売れないらしいのです。とはいえ、大好きなマンガ家さんの新作イラストが買えなかったファンにとってグッズはぜひとも欲しいところ。マストで絵はがきやクリアファイルなどのグッズは売っていただきたい。でも、その原画展が本物かどうか、見極めが肝心ですよ。くれぐれもお気を付けて!

■漫画家生活40周年 木村晃子原画展 〜永遠のノスタルジア〜
[東京]東京古書会館 [MAP]
[東京]くだん書房 [MAP]
2022年6月10日〜6月23日(※神田神保町2拠点同時開催)

●木村晃子(きむら・てるこ)
1982年に「月刊ララ」(白泉社)で投稿作「お池にはまってプリンセス」がトップ賞を受賞。その年の12月大増刊号デビュー。以来、「シルキー」(白泉社)、「かれん」(扶桑社)、「デジール」「エレガンスイブ」(秋田書店)などで多数の作品を発表。
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木村晃子さんの原画展の場合、企画・開催したのはくだん書房の藤下さんです。木村晃子さんをセレクトするあたりは、さすがは少女マンガ通だと思います。

▲画像は左右にスライドできます

この原画展は、①東京古書会館内ギャラリーと、そこから徒歩5分ほどの②くだん書房内との2拠点開催。①では、カラー原稿とモノクロ原画(ペン画)を壁やショーケースに展示。大きな原稿以外でも四コママンガ(雑誌掲載時は広告枠で、コミックス制作の際にその枠を埋めるために四コママンガを描くことがある)掲示コーナーがあったり、当時のアシスタントが作成した「キャラ別スクリーントーン指定表」が貼ってあったり。また、絵はがきなどのグッズ販売だけでなく、既刊コミックスや未刊の作品が読めるコーナーも好評でした。

▲画像は左右にスライドできます

②のくだん書房内では、新作のカラーイラストが展示され、申込抽選販売がされていました。①にも②にも共通で販売されていたのが、くだん書房・藤下さんが編集された初期の頃の木村晃子作品集(同人誌)。こちらも好評でした。

「木村晃子先生の原画展は、展示数が多いのに、ギャラリーがコンパクトなのでお客さんとの距離感が近く、シンプルで庶民的なところがとても良かったです。昭和を感じさせる手作り感もいいですね」(きたがわ翔さん)

▲画像は左右にスライドできます

会期中は松苗あけみさん同様、ほぼ毎日、在廊してサインと挨拶と歓談だったご様子。普段、会えないファンに会えるのもマンガ家さんのお楽しみです。木村晃子さんへのファンレター第1号の男性や「木村晃子私的資料館」なるサイトを長年にわたり制作・運営してくれている男性、とにかく駆けつけた長年のファンが多く、胸アツなマンガ原画展でした。

■くだん書房 [MAP]
東京都千代田区神田神保町1-34 高瀬ビル301
Mail:boss@kudan.jp
HP:http://www.kudan.jp/
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2002年創業。その2年後には少女マンガ雑誌の仕入れが多くなり、「少女マンガ(&同人誌も)に特化した古本屋」と言われるようになる。代表・藤下真潮さんによる「店主の雑文」も興味深いので要チェック。あまりメジャーではないマンガ家さんの名前を出してもその著書がスッと出てくる驚きの古本屋さん。藤下さんの企画・開催する原画展イベントは2024年春には27回目を迎える。

くだん書房 主催・最新情報 X(旧Twitter)
■[The Seiji原画展]
会期:
第1部 玄の章(くろのしょう):2024年3月2日(土)~9日(土)
第2部 縹の章(はなだのしょう):2024年3月16日(土)~23日(土)
時間:13時~18時(金曜のみ19時まで)
定休日:日曜日 ※3/20(水・祝)は開催
会場:くだん書房(東京都千代田区神田神保町1-34高瀬ビル3F)
アクセス:都営地下鉄三田線・都営地下鉄新宿線・東京メトロ半蔵門線 神保町駅(A5出口)より徒歩約2分、JR水道橋駅(東口)より徒歩約8分、JR御茶ノ水駅(御茶ノ水橋口)より徒歩約8分

画廊系 or 美術館…それぞれの胸アツ!

▲北九州市漫画ミュージアム(福岡県)で開催された「文月今日子展」

前章ではマンガ原画展の中でも画廊・ギャラリーで開催されたものを紹介していますが、広々した美術館で開催される良さというのもあります。

千葉県立美術館にて、2022年10月29日〜2023年1月15日まで開催された「企画展 江口寿史イラストレーション展 彼女-世界の誰にも描けない君の絵を描いている-」はとても素晴らしかったです。1日中、その世界に浸っていられました。ぜひとも、もう一度開催してもらいたいと思っています。

また、イベントスペースで開催された原画展もありました。「清水玲子原画展」は美術館とも画廊・ギャラリーともまた違う感覚で楽しめました。

■画業40周年記念 清水玲子原画展
[東京]サンシャイン60展望台てんぼうパーク イベントスペース [MAP]
2023年11月23日〜12月10日

●清水玲子(しみず・れいこ)
1983年「LaLa」2月大増刊号(白泉社)にて『三叉路物語(ストーリー)』でデビュー。2002年に『輝夜姫』で第47回小学館漫画賞を受賞。『月の子 MOON CHILD』や2008年にTVアニメ化もされた近未来サスペンス『秘密 トップシークレット』など代表作多数。現在は、最新作『秘密season0』を連載中。 MELODY[メロディ] 

「ものすごく芸術性の高い作品ばかりで美しかったですね。完成度が高すぎです(笑)。でも、同業者であり、清水玲子先生の絵が好きだからこそ、ちょっとだけ要望を言わせていただくのであれば、作品タイトル横に「画材」を明記してほしかったですね。ギャラリー派としては、次は画廊・ギャラリーで手作り感のある原画展も観てみたいなと思います」(きたがわ翔さん)

▲画像は左右にスライドできます

ただただ細密な原画に圧倒されっぱなしでした。まわりを見れば清水玲子さんが描く美少年・美青年にウットリするファンが大行列。お菓子やお茶など、女性ファンが喜びそうなグッズも販売されていて、画廊系マンガ原画展に訪れる層とはちょっとターゲットが違いそうでした。個人的には今後、白泉社82年デビュー同期で原画展という企画を観てみたいですね。

▲画像は左右にスライドできます

さて、美術館といえば「マンガ美術館」が全国各地にあります。特定の人気マンガ家さんの名前が付いたマンガ美術館も多いですが、その中でもおすすめは秋田県にある「横手市増田まんが美術館」です。秋田県に行ったら立ち寄るべき美術館です。 
また、福岡県北九州市にも素敵なマンガ美術館があるそうです。その名も「北九州市漫画ミュージアム」。そちらで、2023年秋に、あの!文月今日子さんの原画展が催されたのです。

■デビュー50周年記念 文月今日子展 
[福岡県]北九州市漫画ミュージアム [MAP]
2023年9月16日〜11月26日

●文月今日子(ふみづき・きょうこ)
九州造形短期大学美術科に在学中「フリージアの恋」(講談社『別冊少女フレンド』)でデビューし、以後作品を次々に発表。代表作は「エトルリアの剣」(原案:名木田恵子)「わらって!姫子」「地中海のルカ」、「グリーン・レクイエム」(原作:新井素子)「金のアレクサンドラ」、「ふくはうち」「ミラノ♡これくしょん」(原作:国本果子)など、代表作多数。

友人のマンガ家・ねもと章子さんがSNSに感極まった感想を投稿していたので、ご本人に許可をいただいて、原文のまま転載させていただきます。ねもと章子さんのみならず、文月今日子ファン垂涎の原画展だったのですよ。その興奮が手に取るように…ええ、わかりますとも! 次の原画展開催の際には福岡県への旅行パックに入れていただきたいものです。

▲画像は左右にスライドできます

遂にやっと行って参りました‼️🙌✨北九州市漫画ミュージアムで開催中(来週迄❗️)の画業50周年記念 文月今日子展 ✨に。残り会期一週間というところで。😅💦でも伺えて良かった‼️🙏✨
カラーの美しさ😍✨は言うまでもなく✨どの原稿も繊細で華麗。可愛さとドラマチックさとコメディと重厚さ、人生の深みまでも、全てを描ける作家✨文月先生の凄さを✨貪る様に堪能しました‼️しかも撮影可とか‼️ここは天国ですか⁉️とまごうほど。😍✨💕

素晴らしい原画の中にカラーの下書きやラフ、進行表やプロット書きまでも展示されていたり、長きに渡って活動されているアズ漫画研究会についてなど、『漫画家 文月今日子』の50周年の展示として本当に素晴らしい構成でした‼️✨

展示の最後には、漫画家にファンの多い✨文月今日子 先生へのお祝い色紙が多数寄せられてました‼️この直筆色紙を失敗しまくって、暫く絵を描いて無いのが祟った上に、文月先生にお渡し頂くと思うと緊張してしまって💦めちゃくちゃ遅くなってからデジタルでやっとこさっとこ仕上げた私の色紙も展示して頂いておりました。🙏💦ありがとうございます‼️🙇‍♀️✨(中略)
今、学校仕事の合間にこれをUPしていますが、昨日の興奮が覚めやらずふわふわした幸せな気持ちです‼️😊✨(2023年11月20日)

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■北九州市漫画ミュージアム [MAP]
住所:福岡県北九州市小倉北区浅野二丁目14-5 あるあるCity5階・6階
営業時間:11時~19時(入館は閉館の30分前まで)
休館日:毎週火曜日(休日の場合はその翌日)、年末年始など
アクセス:JR 小倉駅より徒歩約2分
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名誉館長は、あの「わたせせいぞう」先生!? ほかにも松本零士、畑中純、文月今日子、陸奥A子、北条司、国友やすゆき、星里もちる、萩岩睦美といった北九州ゆかりのマンガ家さん(敬称略)のマンガ作品や関連資料を収集・保存、マンガの魅力を伝える研究が目的という北九州市漫画ミュージアム。その研究成果を展示や閲覧などに活かし、マンガの持つ魅力や特性を次世代に伝えています。北九州ゆかりのマンガ家さん以外からもとても評判の良い美術館で、今後の企画展も楽しみにしているファンも増えています。ついでではなく、こちらを目指して、福岡県に行きたいですね。

ちなみに、前述の「清水玲子展」についての感想も紹介。プロならではの感想です。それにしても胸アツ過ぎます!

カラーのラフ画が完成作品と並べて展示されていたり、デビュー前の絵もあったり、鉛筆で描かれたページをスキャンして完成原稿にしたものと原画とを並べていたり、ただ絵を観てもらうのでなく、作画の過程も知らせて下さったとても興味深い展示でした‼️✨
デビュー前のバレリーナの動きの連続を描かれた鉛筆画のクロッキー帳を観て、その画力はもちろん「動きの中からどの線を選ぶか?」を常に意識していたのだなぁという、清水先生の意識の高さを感じました。身体の線が、指先まで本当に美しいですものね‼️✨
そして、先に観に行かれた阿部ゆたか先生も仰ってましたが、先日拝見した文月今日子先生の遺伝子(デビュー前にアシスタント)を感じました。(2023年12月10日)

●ねもと章子(ねもと・あきこ)
マンガ家にして、大阪芸術大学短期大学部 デザイン美術学科准教授。公益社団法人 日本漫画家協会参与。一般社団法人マンガジャパン会員。
1985年、白泉社 第9回アテナ新人大賞新人賞受賞。1987年、秋田書店Candle新人漫画賞でデビュー。以後、少女向け・女性向けの作品を各誌にて作品を発表(別PN:抄堂たく)。マール社刊「背景カタログ」「コミック場面集」シリーズ、小学館「めざせ!まんが家 PC でまんがを描こう!」ほか、技法書への執筆も多数。代表作:レートルシリーズ『ヘルメスの翼のもとに』(秋田書店刊 ボニータコミックス) ほか。
近著:『イマココニイル〜石巻に在った優しい試み〜』
X(旧Twitter)

マンガ原画展で当時の自分に会う

画廊系マンガ原画展の良さを散々お伝えしてきましたが、ゆったり広々した雰囲気の良い美術館もおすすめしたいと思います。ただ、マンガ原画展は仰々しく開催してもらいたくない気もします。外国人から「マンガは素晴らしいアート」と言ってもらえて嬉しいですが、昭和40年代から隠れてコソコソと読んでいたおじさん、おばさんからすると隠れてまで読みたい大切な宝物だったのです。

だからこそ、当時の思い出とセットで記憶に残り、それをなぞるようにマンガ原画展に吸い込まれていくのでしょう。前章で紹介した「木村晃子原画展」のお客さんの6〜7割はおじさんでしたが、その中で印象深いエピソードを話してくれた中年男性がいました。

その人は、子どもの頃から少女マンガには触れてこなかった・読んでいなかった男性でした。それなのに、どこで木村晃子さんのマンガに出会っていたのか…。

それは「元カノの部屋」だったのです。

当時付き合っていた女性の部屋に置かれていた女性マンガ誌を何気なく手に取って読んでいて、木村晃子さんのマンガを初めて知ったらしいのです。その部屋に行くたびに読んでいて、彼の記憶には木村晃子さんのマンガが深く刻まれました。その女性とはとっくの昔に別れてしまい、その部屋に行くことも、その女性マンガ誌を読むこともなくなりましたが、「木村晃子のマンガ」だけは憶えていて、マンガ原画展の話を聞いて、一気に記憶が甦り、会場を訪れたそうです。

マンガは連載中の作品を楽しんだり、最新刊を買って読むのがメインですが、過去にさかのぼって記憶を辿ることや懐かしむこともできる文化だと考えます。古本屋さんで大好きだったマンガを見つけたり、貸本屋さん(一部のTSUTAYAではその機能がまだありますが絶滅寸前)やマンガ喫茶で探して、ゆったり読むことも素敵なことです。これからはその中に、マンガ原画展を観る文化を入れてください。

東京や大阪以外にお住まいの方は「うちの方にも来てよ!」と声を上げてほしいです。または、お目当てのマンガ原画展の会期中に、「原画展のある所に、旅行に行く」計画を立てるのが良いと思います。

最後に、東京都内にある「弥生美術館」にて、2024年春まで会期中の「槇村さとる展」をお知らせしておきます。「弥生美術館」では2024年9月28日〜12月22日に「上條淳士展」も開催予定です。ぜひどうぞ!

あなたも、当時のあなたと、懐かしい大好きなマンガに再会しに来てください。お待ちしております。

■デビュー50周年記念 槇村さとる展
会期:2024年1月5日〜3月31日
開館時間:10時〜17時(最終入館16:30まで)
休館日:月曜日、2/13(火)※2/12は開館
入館料:一般1,000円/大・高生900円/中・小生500円
(竹久夢二美術館と2館あわせて観覧可能)
特別協力:ココハナ編集部(集英社)

会場:弥生美術館・竹久夢二美術館 [MAP]
住所:東京都文京区弥生2-4-3
アクセス:東京メトロ・千代田線 根津駅1番出口より徒歩約7分、南北線 東大前駅1番出口より徒歩約7分、JR 上野駅公園口より徒歩約25分

●撮影(協力)= きたがわ翔、木村晃子、ねもと章子、河出書房新社
●文・撮影・編集・WordPress= 魚住陽向編集者小説家

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