「二ツ目」専門の寄席『神田連雀亭』で気軽に落語を楽しみたい!

本記事公開当時は二ツ目で、現在は真打になられた方もいますが、当時のまま修正せずに掲載しています。神田連雀亭のお知らせや噺家さんたちのSNS(リンク)などは改訂しています。寄席の最新情報は神田連雀亭HPにてご確認ください。(更新:2021年10月18日)
神田須田町界隈といえば「藪そば」「竹むら」「いせ源」など、東京の名だたる老舗飲食店が並ぶ街。そこに2014年10月オープンした小さな寄席『神田連雀亭』が今、落語好きのみならず近隣の働く人々にも話題になっています 。(公開:2015年3月20日)

業界でも珍しい「二ツ目」専門の寄席

『神田連雀亭』は落語と講談の「二ツ目」だけが出演する寄席。昼と夜、違った形式の寄席が楽しめます。

昼のワンコイン寄席は、お昼休みに近くの会社員やOLさんが気軽に立ち寄れると好評。神田界隈の老舗そばを手繰った後に、ふらっと入ってくる年配のお客さんも少なくありません。

▲神田藪そばの向かいにある『神田連雀亭』。入り口上部には須田町北部町会のシンボル「ふくら雀」の紋

夜になると、きゃたぴら寄席も大賑わいです。
出演者4人を1組にし、4日間で毎日出番をずらしていく番組になっています。例えば、4日間の初日が「開口一番」の出演者は、以降「二番手」「三番手」、4日目に「トリ」となるのです。出番によって噺の仕方も内容も変わることでその役割を体でおぼえる場でもあります。

▲この日のワンコイン寄席は、38ある客席がほぼ満席に

神田連雀亭
●ワンコイン寄席
[時間]11:30〜12:30[料金]500円(当日のみ)
●昼席(日替わり昼席&講談きゃたぴら)
[時間]13:30〜15:00[料金]1,000円(当日のみ)
●夜席(貸席)
※各寄席の開場は30分前
※詳細はHPにてご確認ください
URL:https://ameblo.jp/renjaku-tei/
住所:東京都千代田区神田須田町1-17加藤ビル(レストランマルシャン)2F

「神田連雀亭の存在は励み」

春風亭朝也「普段はなかなか会えない別の協会の二ツ目さんと会えるのも楽しみの一つになってます。他の方々の噺が聞けるのも勉強になりますね。連雀亭はちょうどいい大きさの寄席だと思います。一緒に開演前の準備もしますし、おのずと出演者どうしのつながりも深くなりますね」
●春風亭朝也 36歳/この日の噺「新聞記事」
2021年SNS「春風亭三朝」TwitterYouTube「春風亭三朝ちゃんねる」

桂夏丸「通常の寄席では二ツ目の出番は昼1人・夜1人ですが、連雀亭のきゃたぴら寄席では4人出られて、1人の持ち時間も20分あります。寄席も出番も増えるのはとてもありがたいことですね。連雀亭は自分にとってホームのような感覚があって、実験的なネタもできるんですよ」
●桂夏丸 30歳/この日の噺「増位山物語」/この日の歌謡曲「そんな夕子にほれました」「夕子のお店」
2021年SNS「桂夏丸」Twitterブログ

柳亭市楽「二ツ目は多くの噺をおぼえる時期。でも出番が減ると、おぼえたネタだけが溜まって頭の中でネタの大渋滞が起こっちゃう(笑)。『百回の稽古より一回の高座』という言葉がありますが、まさに一回の高座の重要性を感じます。連雀亭では落語初心者やふらっと来たお客さんの心をつかむためにはどうすればいいか身につきますね」
●柳亭市楽 33歳/この日の噺「短命」
2021年SNS「六代目 玉屋柳勢」Twitter公式サイト

[地域]と[二ツ目]の活性化のために

『神田連雀亭』は「地域おこしのためにビルの空きフロアを活用できないか」という神田・加藤ビルのオーナーと、「二ツ目の活躍の場を増やしたい」という古今亭志ん輔師匠の思いから誕生しました。

(江戸)落語には「前座」→「二ツ目」→「真打ち」という階級があり、「二ツ目」になると師匠宅の雑用や寄席の裏方仕事から解放され、自分で営業活動をしたり落語会を開催することができるようになります。反面、仕事は激減し(通常の落語定席で二ツ目の出番枠は少ない)、自分で仕事をとってこなければいけなくなるので落語家として大変な時期と聞きます。

▲出演者自ら、チラシを配布してお客さんを呼び込み

志ん輔師匠の弟子の古今亭始(ここんてい・はじめ)さんは、神田連雀亭オープンに際して尽力した二ツ目さん。現在は連雀亭の「まとめ役」「連絡係」をされています。
「二ツ目に勉強や活躍の場が増えたのはありがたいことです。それに地域活性のためというのが連雀亭の最初の目的なので、地域の方々にふらっと来ていただくのは本当に嬉しいですね」とのこと。

「普段は顔付け(番組表編成)をさせていただいてますが、Excelに全ての二ツ目さんの名前を打ち込みランダムに編成しているだけ。だから自分もどの日になるか分からない(笑)。私自身は、21日から月末までの下席を毎月1回借りて、勉強会をさせていただてます。そこでネタおろしのために稽古するというリズムができてきて、連雀亭の存在は励みになってます」

2021年SNS「古今亭始」Twitterhttps://twitter.com/hajime_kokontei
公式サイトhttps://hajime-kokontei.com/
古今亭始Official YouTube Channel「はじチャン」

『神田連雀亭』はコンパクトで高座と客席の距離が近い寄席。古くからの落語ファンも、二ツ目さんを見守り応援している温かさを感じます。もちろん落語初心者でも肩肘張らずに楽しめますので是非一度行って観てはいかがでしょうか!

★ウィルス感染拡大防止のため、連雀亭では以下の対策を実施しております。
①高座と客席の間、および受付窓口に飛沫拡散防止のアクリル板を設置しております。②定員を半数にします。客席の間隔を開けて、定員を20名にします。着席可能の席はご来場の際にご確認ください。③マスク・消毒・換気・検温を徹底します。出演者は高座以外では必ずマスクを着用します。また手指の消毒を徹底します。窓開け、サーキュレーター、扇風機などで常時換気をします。
★お客様にも、以下のウィルス対策へのご協力をお願いしております。
①マスクの着用:着用のないお客様は入場をお断りさせていただきます。また、公演中は鼻まで覆って、取り外しのないようお願いします。突然の咳こみが激しい場合は、いったん会場の外でお願いします。②機械による検温:37.5度以上の方はご入場をお断りさせていただきます。③手の消毒④お客様カードに記入:感染者が出て保健所の指導のもと必要な場合に連絡いたします。「お名前」と「住所または電話番号」をご記入ください。一定期間をおいて連絡不要と判断される場合は、連雀亭で責任をもって破棄します。

神田連雀亭
住所:東京都千代田区神田須田町1-17 加藤ビル2F(1階はイタリアンレストラン「マルシャン」)
URL:https://ameblo.jp/renjaku-tei/
アクセス:都営新宿線 小川町駅、東京メトロ 丸ノ内線 淡路町駅下車A3出口から徒歩約5分

《神田連雀亭オンライン寄席》
産経新聞社とのコラボで、2021年5月から始まった月1回開催の生配信!
神田連雀亭に行きたいけど、このご時世まだちょっと心配な方、東京から遠い所にお住まいで、行くのは大変…という方、自分の好きな時間、好きな場所でゆっくり楽しみたい方、この機会にご覧ください。
ネット視聴券1,000円(税込):ワンコイン寄席+昼席通し券
※2週間のアーカイブ視聴付き
出演者などの委細とチケット購入は産経iDのサイトが便利です。
産経新聞社の落語情報Twitter「S亭」でも情報発信されています。
S亭https://twitter.com/sankeirakugo
イープラス、チケットぴあでも購入できます。
もちろん一般来場して観覧もできます
※機材スペース確保のため席数が15席満席に。ご了承ください

●文・再構成・WordPress= 魚住陽向フリー編集者、小説家
●撮影・編集= 大山勇一