実験しながら酒を飲む? 魅惑の「科学実験酒場」に潜入!

「科学実験酒場」は現在(2022年3月30日)は閉店しています。
最新情報や詳細は記事末のお問い合わせ先まで。

東京・武蔵小山に怪しい男がマスターをつとめる奇天烈なバーがあるという。現役コスプレアイドルを助手に、日曜夜におもしろ科学実験をしながら酒や料理を出してくれる。これは理系じゃなくても、化学記号が苦手でも、原理が分からなくても行かねばなるまい。それは好奇心ウズウズという化学反応が起きているから! 今回は、今一番キテいる「科学実験酒場」にいち早く潜入してみました。(公開:2016年2月15日/更新:2022年3月30日)

※このイベントは終了しています
「科学実験酒場Vol.11 すべてが青になる~青色大実験」
日時:2016年1月24日17:00
場所:ダイニングカフェ&バー「TARUHO」
(東京都目黒区目黒本町4-3-14 コレクションハウスビル202)

ココロに科学、ポケットにはリトマス試験紙

あなたは理科は好きですか? 「文系だから理科や科学・化学は苦手」という人も小学生の時、理科の実験にはドキドキワクワクしませんでしたか? 「なんでこうなるんだろう?」「不思議だけどおもしろい!」と好奇心満載の「なぜなぜ子ども」だったはずです。そして、大人になってもその「なぜなぜ?」のココロを持ち続けている楽しい人たちが集まる酒場が「科学実験酒場」なのです。

主宰はサイエンスライターの川口友万(かわぐち・ゆーまん)さん。怪しい……もといカッコイイおっさんです。『大人の怪しい実験室〜都市伝説の検証』(データ・ハウス)、『あぶない科学実験』(彩図社)など多数のサイエンス本を出しているスゴイ人なのです。

実験助手は、めちゃくちゃキュートな高実茉衣(たかみ・まい)ちゃん。本職は現役の「会いに行けるコスプレアイドル」です。2人ともお酒やお料理を出したり「実験」見せたり、てんてこ舞いの大忙し。そして「実験」が大好きなお客さんとともに大盛り上がり! 本当にみんな科学実験が大好きなんだなぁ(笑)。

そもそもこのお店は、武蔵小山にあるコレクションハウスビル(写真参照)の中にあります。一見すると廃墟マニアが大喜びのDEEP&Antiqueな個性ありありの建物。この2階にある「TARUHO」は、稲垣足穂の世界観をモチーフにしたダイニングカフェ&バー。様々な趣旨(コンセプト)のお店を日替わりでやっているのです。そして、毎週日曜日の夜は「実験しながら酒を飲む。酒を飲みつつ実験する——科学実験酒場」になるというワケです。

▲お店は狭く、混んでくると立ち飲みになるカオスさもまた楽しい。
▲科学実験が好き、という共通の趣味があるためか初めて来た人同士も気さくに会話しています。

見た目カオスな『青いやきそば』に、『電気肉』ってなんだ!?

この日は「科学実験酒場Vol.11 すべてが青になる~青色大実験」がイベントテーマ。

見た目はすごいですが、食べると普通の焼きそば。おいしいです。でも、考えたらお弁当やパーティーにピッタリだと思いません?

アントシアニン溶液をアルカリイオン水(普通に市販されているキ○ンの水)そそぐと…
青く変色!
レモン(酸性)を加えると赤くなりました
こんにゃくもアルカリ性なのでこんな感じに

▲画像は左右にスライドできます(PCの場合、写真左右にある矢印をクリック)

「紫キャベツや紫芋に含まれるアントシアニンを使って、青い焼きそばや青い卵を作ります。アルカリ性なら青くなるわけです。リトマス試験紙と原理は同じ(リトマス試験紙はリトマスというコケからアントシアニンをとっています)。水割りはアルカリイオン水に色素を投入、青くしましょう。他にもアルカリ性食品なら何でも青くなる道理です。」(Facebookページから引用)

▲この他にも『青いやきそば』『青い卵焼き』なども。

pH試験紙でいろんな食品のpHを調べたり、お酒をアントシアニン溶液で割ってみて「こりゃずいぶん酸性が強いんだな!(笑)」という具合に楽しんだり。

今日は「青色実験」に加えて、以前やって好評だった「電気肉実験」もやることに。実は主宰の川口さんは、科学専門のネットメディア「サイエンスニュース」で数々のおもしろ科学記事を公開しています。その中でも特に注目度が高かったのが『【食べる科学実験】3分で安売りブロイラーが高級地鶏に? 謎の電気肉を調査せよ(全3回)』なのです。

これは「電気を通すと肉はおいしくなる?」という実験なのですが、見事に実証! この記事(第3回)に登場するのが、麻布大学獣医学部・食品科学研究室の坂田亮一教授です。坂田先生は、鶏の胸肉に電流を流して熟成を早める『Eチキン製造システム』の生みの親。この日は坂田先生が来店されるということで急遽、肉以外にもいろんな食材に電気を通す実験をすることになったのです!

▲気さくな坂田亮一教授

マグロの刺身に1万5000ボルトの高電圧をかけて、おいしく(?)するそうです。「ビリっと来るかもだから電気流している間は机に触れないでね!」とのこと。ヒエ〜っ(笑)

さぁて、どうなりますやら。ドキドキワクワクです。下の動画をご覧くださいね。

▲電気マグロの実験中(音が出ます)
▲今度はタクアンに電流を流す実験…ひ、光ってる!(音が出ます)

いやあ、人間って忘れがちですが科学の中に生きてるんですよね。怒濤の「科学実験酒場」レポートでした。楽しかったです。ありがとうございました。

「科学実験酒場」は現在(2022年3月30日)は閉店しています。
詳細は下記URLからお問い合わせください。
■科学実験酒場オンラインhttps://www.facebook.com/groups/kagakubar

この取材で知り合った、モデルで人気コスプレイヤーの「美少女」さんが2021年11月3日に急逝されました。本名も年齢も知りませんでしたが、彼のツイートで素敵なコスプレを見るのが楽しみでした。彼が亡くなった後も時々、彼のTwitterアカウントを見ています。ご冥福を心よりお祈り申し上げます。

●文= 魚住陽向フリー編集者小説家
●撮影・編集= 大山勇一