初心者にもよくわかる!生物×人工物アートなイベント「第5回 神保町ヴンダーカンマー」情報

「本の街」である東京・神田神保町で毎年、奇妙なタイトルの不思議なアートイベントが行われています。実は第1回から名前だけ聞いて興味津々でした。ずっと参加するチャンスを逸していましたが、今年は「やっぱり取材したい!」と急に思い立ち(ちゃんと取材申し込みしています)、カメラ片手に初日におじゃましてきました。どんなイベントか気になっている方も多いと思いますので、イベントの概要だけでなく出展者さんを紹介します。紹介文は公式サイトやTwitter公式アカウントから引用させていただきましたのでご了承ください。(公開:2019年7月26日/更新:2022年9月9日)

※2019年の情報です。
第5回 神保町ヴンダーカンマー
会期:2019年 7月13日(土)〜8月18日(日)
開館時間:平日&土 12:00~18:00
日&祝 12:00~17:00
会場:奥野かるた店 2階ギャラリー
(東京都千代田区神田神保町2-26)
主催:神保町ヴンダーカンマー実行委員会

「ヴンダーカンマー」(ドイツ語:wunderkammer)とは日本語で「驚異の部屋」と訳される。15世紀から18世紀にかけてヨーロッパで作られていた様々な珍品を集めた博物陳列室のこと。15世紀イタリアの諸侯や有力貴族の間で作られたことに始まり、16世紀にはドイツ語圏に伝わって、王侯貴族だけでなく学者や文人の間でも作られるようになった。科学・分類学の発達と市民社会の台頭などにより18世紀半ばに廃れていったが、そのコレクションのいくつかは今日の博物館の前身となった。大英博物館もハンス・スローン卿のヴンダーカンマーの収集物を基にして作られたものである。(ウィキペディアより)
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「神保町ヴンダーカンマー」とは、自然物と人工物が織りなす真夏のアートイベント。骨あり、虫あり、鳥あり、魚あり、獣あり、爬虫類あり、幻獣ありの理系アートともいえる。国内外で活躍中の21組のアーティスト・クリエイター・研究者が毎年夏に神田神保町・奥野かるた店2階ギャラリーに集まり、作品、コレクション、グッズなどを展示している。第5回のテーマは「進化のかたち」。

出展者紹介CONTENTS◆(五十音順)
①アクアテイメント②雨ノ宮一紀③えぞホネ団Sapporo④小田隆⑤科学バー⑥黒沼真由美⑦佐野藍⑧SKURANGER(スカレンジャー)⑨スクリーミング・マッド・ジョージ⑩dubhe(ドゥーベ)⑪〜travelling museum〜 博物倶楽部⑫のらくらあきら⑬はくラボ⑭久正人⑮弘岡知樹⑯骨吉作成店⑰ほねばたけ⑱松本章⑲宮城康助⑳森健人㉑横井もじゃ

①アクアテイメント

透明骨格標本■『新たな命を与え(Re:life)、次の世代へつなげる(Cycle)、Re:Life Cycle事業』の構築を目指す。すてられる魚を透明骨格標本とすることで教材・商材へと生まれ変わらせ、新たな世代へいのちの大切さや自然の大切さを伝えるキッカケ作りを提供。
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②雨ノ宮一紀

造形作家、ジュエリーデザイナー■具象彫刻を制作するなかでスタチューブランド「ZRAME」を彫刻家「山崎りょう」とともに立ち上げる。骨をモチーフとしたオーナメントや天然石と組み合わせたオリジナルアクセサリーを中心に制作販売。
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③えぞホネ団Sapporo

標本作製愛好家■北の大地・北海道は札幌で様々な標本作りをしている有志団体。標本世界の魅力を広めようと「さわれる標本」「あそべる標本」「かんじる標本」をモットーに生き物たちの学びの入り口を一緒に楽しむことができたら…とワクワクしながら日々ホネ道を邁進中。
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④小田隆

画家・イラストレーター、STUDIO D’ARTE CORVO■1995年、東京藝術大学美術研究科修士課程修了。油画と壁画を専攻。1996年、恐竜の化石の組み立てに参加したことから復元画の制作を始める。1995年~現在、個展、グループ展を多数開催。1998年~現在、博物館のグラフィック展示、図鑑の復元画、絵本など多数制作。幅広い古生物学者たちとの交流のなかで科学的に資料に支えられるとともにオリジナリティに富んだ作品群を生み出し続けている。大阪芸術大学教養課程准教授/成安造形大学イラストレーション領域客員教授
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⑤科学バー

株式会社キウイラボ■トーキョー日本橋にあるちょっと変わった人たちが集まる酒場。毎月数回のイベント開催、ウェブマガジン「Web科学バー」の更新、『クマにあったらどうするか』(ちくま文庫)、『世界でいちばん素敵な進化の教室』(三才ブックス)といった生きもの系の本を作っている。2014年より国立科学博物館ミュージアムショップなどに並ぶオリジナル進化ポスター「系統樹マンダラ」シリーズを刊行中。2018年には、344名のサポーターに支援されクラウドファンディングが成立した【カメ編】を刊行。2019年夏は6編目となる新作【サメ編】を展示販売。
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⑥黒沼真由美

美術家■レース編みの節足動物やダニ系統樹の原画から版を起したTシャツを販売。発酵微生物のヤンキー漫画「進め!発酵学園」の単行本『マンガで読む発酵の世界』(緑書房)が10月刊行予定。
連載漫画「進め!発酵学園」 Facebook

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⑦佐野藍

彫刻家■モチーフはドラゴンや幻獣、動物など。主に扱う素材は大理石。Pythonシリーズでは大理石の色や模様を活かした連作を展開中。ドラゴンや幻獣、大理石はともに「永らえる」イメージがあり、モチーフと素材の親和性が高いと感じている。
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▲初日から大盛況!

⑧SKURANGER(スカレンジャー)

シルバーアクセサリー■リアルな頭蓋骨をモチーフにしたシルバーと、動物やリアルな義眼をモチーフにしたガラスを組み合わせたアクセサリーを展開中。昨年末に発表した、ドラゴン作家のらくらあきら氏とのコラボアイテム[竜眼ペンダント]の展示販売も。オパールを使い竜の眼を表現したグラスアイは必見!
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⑨スクリーミング・マッド・ジョージ

エフェクトアーティスト■言わずと知れた世界トップの特殊メイクアーティスト。1980年に「特殊メイク」を独学で技術を駆使し、特殊メークアーテストとしてハリウッド映画で働き始める。20年間に及ぶ映画/PVなどの活躍を終え、帰国。大阪芸術大学で客員教授として特殊メイクを教える傍らオリジナルコンセプトの純粋芸術作品「イリュージョニスティック・シュールリアリズム作品」の制作を始める。今回の出展は「イーミュ(アニマトロニクス)と特殊幻想生物」。

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⑩dubhe(ドゥーベ)

古美術商■100年~300年程前に製作された博物図版を取り扱う。ヴォルフラム伯の依頼により新たな図版を追加している。
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⑪〜travelling museum〜博物倶楽部

サイエンスワークショップ■ 2015年に結成された実験・観察サークル。「travelling」とある通り、様々なイベント・博物館などに出かけて行き、大人から子供まで多くの方が楽しみ、学ぶワークショップを行う。「おとなイベント」ということで、中学生以上を対象に水滴顕微鏡やハクブツムシ、折り紙モササウルスなどたくさんのプログラムを準備中。プログラムに1つ参加すると1ポイント、10ポイントで特製缶バッジ(デザイン/ツク之助さん、カンブリ屋さん)をもれなくプレゼントするポイントカードも!
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⑫のらくらあきら

ドラゴン屋■神話や伝承に現れる想像上の獣たち(幻獣)、なかでもドラゴンに関することを中心に制作。古代から世界中に居る「ドラゴン」という存在を特に不思議に思い、調べ始めたことがきっかけで今に至る。「身近にドラゴンを!」と、生活に取り入れやすいグッズや作品の展開も進めている。
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⑬はくラボ

認定NPO 法人大阪自然史センター■「人と自然と博物館をつなぐ」をキーワードにミュージアムショップの運営、グッズ企画開発、書籍の出版、学会やイベントでの出店、通信販売などに取り組む。また、大阪市立自然史博物館のミュージアムショップを受託運営。ホネ、苔、キノコ、化石など専門家監修のもと [はくラボ]が企画制作した大阪自然史博オリジナルグッズや一般書店では手に入らない博物館関連書籍を中心に販売。売上は「自然を伝える」活動に活かされる。
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⑭久正人

漫画家■代表作に『エリア51』や『ノブナガン』など。古生物や異形怪異が登場する作品を多く手がける。古墳時代を舞台にした変身ヒーロー漫画『カムヤライド』連載中。また東映「騎士竜戦隊リュウソウジャー」に怪人デザイナーとして参加中。
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▲早く行かないと、お目当ての作家さんのグッズが完売しちゃうよ!

⑮弘岡知樹

イラストレーター■細密画からデフォルメイラストまで何でも描くイラストレーター。実物大で描いた野鳥や蝶の原画をもとに実物大クリアファイルなど各種グッズの制作も。野鳥の横に描かれた卵のサイズまで実物大。優しくてリアルなタッチに「鳥の図鑑を作ってほしい」というファン急増中。
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⑯骨吉作成店

骨格標本作成請負業者■学校や博物館など教育機関の教材用の骨格標本作成、個人依頼の骨格標本作成を行う。「教材、展示用に骨格標本を作成して欲しい」「インテリアとして、造形美としての骨を探している」などの要望のお手伝い。哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類の骨格標本が作成可能。頭骨や手足のみの部分標本や全身骨格標本など幅広い依頼に対応できる。詳細は下記URLの「お問い合わせ先」から。
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⑰ほねばたけ

古生物復元画家■生き物を愛するフレッシュな成安造形大学の学生2人が古生物や現生生物のイラストレーションを元にした作品やグッズを展示販売。
へたか:古生物と骨をこよなく愛する、駆け出しの古生物復元画家。
センバエミカ:見た人が楽しくなるイラスト制作。デフォルメの効いた作風が特徴的。
Twitter(府高航平)
Tumblr(センバエミカ)

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⑱松本章

グラフィックデザイナー■少年時代から親しんでいる身近な虫をテーマにして、独自の感性と方法での「昆虫標本デザイン」を追究している。昆虫針を使わない自然な姿の立体標本や翅で構成した図譜標本、鱗粉転写などを個展で発表。
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⑲宮城康助

イラストレーター■海外のカリカチュア大会で多くの受賞暦があり、2013年のISCA世界大会で総合優勝を果たし世界チャンピオンに(「カリカチュア」とは人物の性格や特徴を際立たせるために誇張や歪曲を施した似顔絵のこと)。現在はカリカチュアの技法を活かしつつ、似顔絵の枠にとらわれないイラストレーターとして活動中。
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⑳森健人

路上博物館キュレーター■国立科学博物館に収蔵されている一群の剥製「ヨシモトコレクション」に関連し、剥製や骨格標本作成の基礎となる解剖学的知見の蓄積を進めている。哺乳類の後肢、特にラッコの股関節に解剖学的関心をもつ。また、ライフワークとして哺乳類の筋骨格乾燥標本の作成を行っている。7月20日にはテーマ「これから如何にして博物館を破壊していくか」という講演を行った。
路上博物館Twitter

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㉑横井もじゃ

ペン画作家■動物と青年を合わせた獣人の人間味のある仕草や表情を表現している。トートバッグやポーチなどの手描き一点物をメインに販売。アートイベントでグッズ販売をしたり、公募展などに出展している。
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▲親子連れも大歓迎です!

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奥野かるた店の『進化のかるた』のお仕事をしたきっかけで、アートイベントの場所(ギャラリー)を貸してもらえることになった小田隆さんと科学バー(キウイラボ)の畠山康英さん。「神保町ヴンダーカンマー」の始まりです。奥野かるた店の会長さんの器の大きさに感服ですね。ここだけの話、会長さんが実はブルーメンベルク伯ヴォルフラム翁のモデルという噂(?)もあります。

進化のかるた(奥野かるた店)
地球に生命が誕生してから40億年の生物の進化の歴史をたどる「かるた」。覚えやすくユニークな読札の文句と詳しい解説書は豊橋市立自然史博物館学芸員の松岡敬二氏、小学校教諭の松岡孝子氏によるもの。 絵は恐竜の骨の組み立てに携わったこともある、古生物復元画家の小田隆氏。「進化のかるた」は札・解説ともに専門家が手掛けた、類を見ない内容充実の本格「サイエンスかるた」です。
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あなたがもし、生き物や骨、幻獣などが大好きなら絶対に行っておくべきです。そして、お子さんの夏休みの宿題や研究テーマにもピッタリです。「このアートイベントがきっかけで生物の研究者になりました」という子どもも現れるかもしれませんね。

第5回 神保町ヴンダーカンマー
会期:2019年 7月13日(土)〜8月18日(日)
作家在廊日:2019年 7月13日(土)、14日(日)
休廊日:2019 年8月13日(火)、14日(水)、15日(木)
開館時間:平日&土 12時~18時/日&祝 12時~17時

料金:入場無料
主催:神保町ヴンダーカンマー実行委員会
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会場協力:奥野かるた店
協力:Skeleton Crew Studio,Inc.   

会場:奥野かるた店 2階ギャラリー
住所:東京都千代田区神田神保町2-26
アクセス:東京メトロ・都営地下鉄「神保町」A4出口より左折して白山通り沿いを徒歩約3分/JR中央・総武線「水道橋」東口より右折して白山通り沿いを徒歩約7分

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●撮影・文・編集・WordPress = 魚住陽向フリー編集者、小説家