AIで原稿が作れる時代、編集プロダクションや制作会社に頼む意味はある?

[公開:2026年6月10日]

AIを活用しながらデータ資料を囲んで議論するビジネスチームのイメージ画像。
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はじめに

書籍や雑誌、Web記事の制作現場では、いまやAIを使えば、調べ物や要約、原稿の下書きから構成案づくりまで、自分の手で進められるようになりました。
これまで編集プロダクションや制作会社に頼んでいた作業の一部を、自分でこなせる時代になってきたのです。 

そうなると、自然とこんな声が出てくるのではないでしょうか。
「これなら、わざわざ編集プロダクションや制作会社に頼まなくてもいいのでは?」

当然の疑問だと思います。
作業そのものは、発注する側でもかなりのところまでできるようになりました。ただ、さまざまなお客さまと話すなかで、私たちは一つの変化に気づいています。

それは、発注先を選ぶ基準が変わってきたということです。いま重視されているのは、「ただ作る会社」ではありません。その仕事を、「責任を持って前に進めてくれる人がいるかどうか」。私たちが選ばれる機会が増えている背景には、まさにこの変化があると実感しています。

では、AIで多くが作れるようになった今、編集プロダクションや制作会社に頼む意味はどこにあるのか。私たちが考える答えは、大きく3つあります。

1つめは、案件の全体を動かす力

作ることそのものは、もう価値の中心から離れつつあります。
むしろ問われるのは、集まった情報を誰にどの順で確かめてもらうか、どう検証し、案件を完成に向けて進めていくのかという部分です。 

たとえば一本の記事を作るにしても、誰に取材して、その内容を誰が確認し、どこで監修を入れ、どの順番で組み立てればスムーズに進行するかを考えます。

取材・確認・監修・編集の流れを8ステップで整理した工程図。企画・目的整理から始まり、取材先の選定、取材、原稿作成、事実確認、監修、編集・社内確認、公開へと進む。

ただ完成させるのではなく、途中で問題が起こることを想定し、工程を設計、管理し検証を行うのです。企業の媒体であれば、できあがったものを社内でどう通し、どう広げていくかまで考えます。書籍であれば、どう届け、どう売られていくかを見すえて作ります。

こうした、案件の全体を見渡して動かしていく力は、原稿を一本生成することとはまったく別のものです。AIが下書きを返してくれる時代になっても、ここはなかなか代わりがききません。私たちが長く制作の現場でやってきたのは、まさにこの部分になります。

2つめは、内容を担保しながら、真摯に作ること

もう一つは、情報の専門性や信頼性、独自性を、誰が責任を持って引き受けるかということです。

AIは、それらしい構成案や原稿を簡単に出してくれます。だからこそ、その内容が本当に正しいのか、読み手にきちんと伝わるのかを、丁寧に確かめて担保する必要があります。

AIが作った原稿を、編集者が事実関係・読み手への伝わりやすさ・現場の実態との整合・表現上のリスクの4点から確認し、公開できるコンテンツに仕上げる流れを表した図。

「なんとなく正しそう」で世に出してしまうと、後から事実の誤りや、現場の実態とのずれが見つかることも少なくありません。 

読者のことを、そしてクライアントのことを考えて、真面目に作る。
言葉にすると当たり前のことですが、この当たり前が、最も大切なことであると感じています。

専門分野に詳しい書き手を選び、必要なら監修者に確認してもらう。そして編集者が、読み手の目線で全体を見直していきます。 

こうして一つひとつ内容に責任を持つ作り方は、私たちが昔から大切にしてきたものです。最近では、原稿そのものはクライアント側で用意し、その内容を私たちが見直したり、書き手と認識をすり合わせたりする、という関わり方のご相談も増えてきました。
作る人がいる前提で内容を確かめて整える役割は、新しい時代だからこそ意味を持つと感じています。

3つめは、作り手の思い込みを外から正す目

AIには、もう一つ気をつけたい性質があります。
指示を出した人の意図に沿って文章を組み立てるため、書いた本人には「まさにこれだ」と思えても、前提を共有しない読み手には唐突だったり言葉足らずだったりする、独りよがりに陥りやすいということです。

自分で作ったものは、頭のなかにある前提を補って読んでしまうので、その抜けに自分では気づきにくいものです。

ここで大切なのが、第三者の目です。読み手のことを知らない立場から「ここはもう少し説明がいるのでは」「この順番だと伝わりにくい」と指摘できることが、編集者の役割の一つです。

作り手の思い込みを読み手に届く形へ直す流れを表した図。作った本人が見落としがちな説明不足や順番の違和感を、編集者が第三者視点で整え、わかりやすく誤解されにくい原稿に仕上げる。

私たちは多くの読み物に触れ、実際に作ってきたなかで、読者がどこでつまずくか、どう組み立てれば伝わるかという感覚を積み重ねてきました。

作った本人には見えにくい部分を、外から見て整える。AIが書き手の意図に寄り添って動く時代だからこそ、いったん離れた目で読み手に届くかどうかを確かめる役割が、いっそう生きてくると考えています。

おわりに

AIは、とても強力な道具です。たたき台を作るところまでは、これからもっと多くの場面で活用されていくでしょう。

ただ、道具がどれだけ進化しても、その全体を動かす人、内容に責任を持って担保する人、そして読み手に伝わるかを外から確かめる人は、やはり必要です。

だからこそ私たちは、目の前の読者やクライアントのことを考えて、真摯にものづくりを続けていきたいと思っています。

アーク・コミュニケーションズでは、企業や各種媒体のコンテンツ制作を企画段階からサポートしています。AIで作った原稿のブラッシュアップ、内容の監修やファクトチェック、案件全体のディレクションなど、お気軽にご相談ください。

この記事について

監修担当プロフィール
小倉 永俊|アーク・コミュニケーションズ 代表取締役

大手総合情報サービス企業にてPC雑誌の編集を担当した後、広告代理・採用支援企業に転職。会社案内、入社案内、広告制作ほか、採用メディアのWEBマスターを担当。2006年にアーク・コミュニケーションズに入社。一般書籍・雑誌など版元の出版物を制作するほか、企業の年史、広報誌など幅広いジャンルで統括ディレクターを務める。2023年より同社の代表取締役。

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