人柄と本音が伝わるインタビュー記事の作り方と取材の進め方

[公開:2025年3月25日|最終更新:2026年3月18日]

インタビュー記事で相手の人柄や本音を伝えるには、「誰に取材するか」の判断から始まり、質問設計・チーム編成・当日の時間配分・原稿構成まで、一連のプロセスを整理する必要があります。この記事では、編集者が現場で実践している手順を、各フェーズごとに解説します。

インタビューのイメージ写真
※画像はイメージです。

インタビュー形式が向いているのはどんな場合か

インタビュー形式が最も効果を発揮するのは、「話者の知名度そのものが価値になる場合」と「専門性と人格が不可分なテーマを扱う場合」の2つです。この2条件のどちらにも当てはまらない場合、解説記事やQ&A形式の方が情報の密度は高くなります。

インタビュー記事を作成する前に最も重要なのは、「なぜインタビュー形式で伝えるべきか」という理由を明確にすることです。多くの人がこの点を十分に考慮しないまま、インタビュー形式を選んでしまいがちです。

話者の知名度そのものが価値になる場合

例えば、大谷翔平選手のような「超」がつく有名人であれば、その専門分野(野球)だけでなく、本来関係のない「食」といった話題でも読者の関心を集めることができます。「この人が語る」という事実自体が価値を持つため、通常なら記事にならないような内容でも成立します。ただし、この条件は真に社会的知名度の高い人物にのみ適用されます。

専門性と人格が結びついている場合

これが最も一般的で効果的なインタビュー記事のパターンです。法律の専門家が法改正について語る、成功した経営者が事業戦略を説明する、医師が最新の治療法について解説するなど、その分野に深い知見を持つ人の言葉には説得力があります。

読者は専門知識だけでなく、その人の経験や思考プロセスにも関心を持ちます。客観的な情報だけでは得られない、専門家ならではの視点や考え方を伝えることがインタビュー記事の大きな価値の一つです。

また、新生活のことを知りたければ新卒の社会人に話を聞く、大学生活のことを知りたければ大学生に話を聞くといったインタビューもこのパターンに含まれます。当事者性が価値を持つ場合は、専門家でなくとも成立します。

インタビュー記事のメリットとデメリット

インタビュー形式を選ぶ前に、メリットとデメリットを正確に把握しておくことが重要です。情報密度の低さはインタビュー記事の構造的な弱点であり、見出しや導入文の設計で補う必要があります。

インタビュー記事のメリット」、デメリットのイメージ図

メリット:読みやすさと共感性

ストーリー性のある自然な読み進め

インタビュー記事は文字量が多くなりがちですが、会話形式の自然な流れがあるため、読者は負担を感じずに読み進めることが特徴です。質問と回答のリズムがよければ、長文記事でも読者の興味を維持できます。相手の感情表現や説明のニュアンスを文章に反映させることで、単なる事実の羅列よりも人間味のあるコンテンツになります。

専門家の言葉がもたらす納得感

専門家や著名人の直接の言葉には、解説記事や一般的な情報記事にはない説得力があります。「この分野のプロがそう言うなら」という納得感が生まれ、読者の共感を呼びやすくなります。インタビューされる側である、インタビュイーの個性や価値観が伝わることで、読者との感情的なつながりも生まれやすくなります。

デメリット:情報密度と検索性の低さ

文字量に対する情報密度の低さ

インタビュー記事の大きな弱点は、文字数の割に伝えられる情報量が少ない点です。会話の自然な流れを重視するため、簡潔に伝えられる内容でも言葉の数が増えます。発注する際も「〇文字でいくら」という値付けだと割高になりやすい点に注意が必要です。

情報の検索性の低さ

現在のウェブコンテンツでは、見出しによって情報が整理され、読者が必要な部分だけを素早く見つけられる構成が主流です。しかしインタビュー記事は基本的に最初から最後まで読む必要があり、特定の情報を探す検索性は低くなります。時間効率を重視する読者には不向きな面があるため、見出しや導入文の工夫でカバーすることが重要です。

取材前に決めておくべき3つのこと

成功するインタビューの鍵は、本番前の準備にあります。質問の設計・ゴールの共有・チーム編成という3つの準備を取材前に完了させておくことが、当日の対話の質を決定づけます。

質問は3〜4問に絞る

質問数は少なく、深く

一般的なインタビュー時間は1時間から1時間半程度です。この時間に対して、質問状に記載する項目は3〜4つ程度に絞ることが重要です。

一見少なく感じるかもしれませんが、実際のインタビューでは相手の回答に応じて質問を掘り下げていくため、実質的には多くの質問を投げかけることになります。必要なのは、相手の発言から新たな質問を導き出す柔軟性と、核心に迫るための質問の質です。

シナリオではなくゴールを事前に共有する

インタビュー取材でよくある失敗は、事前に詳細なシナリオを作り、それに相手を当てはめようとしてしまうことです。インタビューはシナリオ通りに進まないのが常であり、仮にシナリオ通りに進んだとしたら取材の意味が薄れてしまうケースも少なくありません。

「このインタビューを通じて読者にどんなメッセージを届けたいか」というゴールを共有することの方がはるかに有用です。インタビューの冒頭で「先生のこんな話を通して、読者にこう思ってもらえるような記事にしたいんです」と目的を伝え、合意を得ることで、相手も同じ方向を向いて話をしてくれるようになります。

こちらが聞きたいことがあるように、相手にも伝えたいことがあります。それを尊重しながら、ゴールに近づけていくことが大切です。

取材チームに必要な3つの役割

インタビュー取材が成功するためのには、適切なチーム編成と明確な役割分担が欠かせません。理想的なチーム構成は基本的に、次の3名です。

インタビューのためのチーム役割のイメージ図
インタビューのためのチーム役割のイメージ図

編集者 – 全体の司令塔

編集者は取材全体を管理する重要な役割を担います。時間管理、必要な質問項目の確認、聞き漏らしのチェックなど、ライターが対話に集中できるようサポートします。また、撮影の指示や、インタビュー後の構成案の検討なども編集者の仕事です。

ライター – 対話の主役

ライターはインタビュアーとして会話を担当し、相手との良好なコミュニケーションに専念することが最も重要です。質問リストを消化することではなく、相手の話に耳を傾け、自然な対話を展開することに注力します。話が脱線しても焦らず、相手の言いたいことを尊重することで、予想外の貴重な発言を引き出せることも少なくありません。

カメラマン – 視覚的記録の専門家

良質なインタビュー記事には、魅力的な写真が不可欠です。カメラマンはインタビューカットだけでなく、ポートレートなど多様な写真素材の撮影に専念します。撮影という技術的な側面に集中することで、質の高い写真素材を揃えることができます。

この体制により、それぞれが自分の専門分野に集中でき、質の高いインタビュー取材の実現が可能になります。

インタビュー当日の時間配分

1時間の取材を無駄なく使うには、事前に時間配分を設計しておくことが重要です。以下が編集プロダクションが実際に使っている1時間取材の標準的な流れです。

インタビュー当日の流れのイメージ図

詳細な時間配分の設計

事前準備(到着20分前)

チームは、約束の約20分前には現地入りします。この時間にカメラマンは機材のセッティングや撮影場所の検討を始めます。照明の確認、背景選び、ベストアングルの検討など、実際の撮影環境で調整が必要な要素は多いのです。この準備時間があることで、本番でのスムーズな撮影が可能になります。

メインインタビュー(最初の30分)

インタビューの最初の30分は、主要な質問と回答に充てます。この時間は相手がまだ新鮮な状態で、集中力も高いため、最も重要な質問から始めるのが理想的です。取材の空気に慣れてくる頃には、より踏み込んだ質問も可能になります。

ポートレート撮影(次の15分)

インタビュー中盤、相手が取材の空気に慣れてきたタイミングでポートレート撮影に移ります。この時間帯は、相手もリラックスしてきており、自然な表情を引き出しやすくなっています。撮影中、編集者とライターは次の質問について相談したり、聞き漏らしをチェックしたりする時間にも活用できます。

追加インタビュー(最後の15分)

最後の15分は、残りの質問や聞き漏らしの確認に充てます。ここまでの会話で新たに生まれた疑問点を掘り下げたり、重要なポイントの再確認をしたりするのに適した時間です。また、相手が話の流れの中で触れなかった重要なトピックがあれば、ここで質問する機会になります。

当日の開始時に確認する2つのこと

目的とタイムスケジュールの再確認

インタビュー開始時に、記事の目的とタイムスケジュールを改めて確認します。「30分お話を伺った後、15分ほど写真撮影があり、最後にもう少しお話を伺います」といった流れの説明は、スムーズな取材のために欠かせません。

撮影についての一言

多くのインタビュイー(インタビューされる側)は撮影に不慣れです。「インタビューが始まったらカメラマンは撮影を始めますが、カメラを気にせずお話しください」といった一言を添えることで、相手の緊張を和らげ、自然な表情と言葉を引き出すことにつながります。

対話の質を高めるインタビュー技術

インタビューの核心は、相手との質の高い対話を実現することにあります。単なる質問と回答の応酬ではなく、真の意味での「会話」を目指すことが重要です。

インタビュー技術向上のサイクルのイメージ図

相手の言葉に反応して質問を重ねる

優れたインタビュアーは、事前に用意した質問リストをこなすことよりも、相手の言葉に耳を傾け、そこから次の質問を導き出します。例えば、相手が「昨日食べた餃子がとても美味しかった」と言ったら、「どんなところが特に美味しいと感じましたか?」と掘り下げることで、より具体的で生き生きとした回答を引き出せます。

脱線を許容する柔軟さを持つ

インタビューは機械的な情報収集ではなく、人と人とのコミュニケーションです。相手が話題を少し脱線させたとしても、強引に本筋に戻そうとするのではなく、その流れを尊重する柔軟さが必要です。予想外の発言が記事の核心になることも少なくありません。

オンラインインタビューで気をつけること

コロナ禍以降、オンラインでのインタビュー取材が急増しています。対面取材とは異なる特性を理解し、適切に対応することが必要です。

オンラインインタビューのイメージ写真
※画像はイメージです。

コミュニケーション上の課題と解決策

  • 音声のタイムラグ
    相手の発言が完全に終わったことを確認してから話し始める。「どうぞ」と明確に発言の機会を譲ることでスムーズになる
  • うなずき・反応が伝わりにくい
    うなずきやジェスチャーを大きめにし、言葉でも反応を明確に伝える
  • 資料共有の操作ロス
    必要な資料は事前に画面上で開いておく。資料共有・画面切り替えは編集者が担当し、ライターが対話に集中できる環境を整える

感情伝達の制約をカバーする

対面取材と比べて、オンラインインタビューでは相手の印象や感情の動きが薄くなりがちです。画面越しでは微妙な表情変化や雰囲気を捉えにくいため、より意識的なコミュニケーションが必要です。表情を豊かにする、声のトーンに変化をつける、反応を言葉で明確に伝えるなど、通常より一段強めの表現を心がけることで、この制約を補えます。

原稿構成で意識する3つのこと

インタビュー終了後、記事の質を決定づけるのは原稿の構成と編集作業です。単なる質疑応答の羅列ではなく、読者を引きつける記事に仕上げるために、次の3点を意識します。

観点 内容 判断の基準
全体の流れを設計する取材の順序と記事構成は必ずしも一致させない読者の関心を引く話題から入り、核心に向かい、印象的なメッセージで締める流れが基本
要素を取捨選択する1時間分の発言をすべて記事にしないテーマに沿った発言・具体的なエピソード・印象的な表現を優先し、冗長な部分は削る
強弱をつける重要な発言を強調し、文脈を損なわない範囲で削除する言葉の意図を変えるような編集は避ける。これがプロの編集者の技術

話題ごとにセクションを分け、適切な見出しをつけることで、読者の理解を助けることもできます。

インタビュー記事の制作をプロに依頼する場合の流れ

インタビュー記事の制作は、多くの技術と経験を必要とする専門的な作業です。この記事で紹介した手順を取り入れることで、インタビュー記事の質は確実に向上するでしょう。ただし、すべての要素を一度に完璧に実践することは容易ではありません。

インタビュー記事制作プロセスのイメージ図

アーク・コミュニケーションズでは、インタビューの企画立案から取材・執筆・編集まで一貫して対応しています。標準的な制作の流れは以下の通りです。

  1. ヒアリング:お客様のご要望や目的、ターゲット読者などを詳しくお伺いします
  2. 企画提案:目的達成に最適なインタビュー企画をご提案します
  3. インタビュイー選定・交渉:適切な方の選定からアポイント取得までサポートします
  4. 取材・撮影:プロのチームによる効果的なインタビュー取材と撮影を行います
  5. 原稿作成・編集:読者の心に響く魅力的な記事に仕上げます
  6. ご確認・修正:お客様と記事内容を確認し、必要に応じて修正します
  7. 納品・公開:完成した記事と写真素材を納品します

※ 上記は標準的なプロセスであり、案件によって異なる場合があります。詳細はお打ち合わせの中でご相談ください

「インタビュー記事を作りたいけれど、どう進めればよいか分からない」「自社のメディアで質の高いインタビューコンテンツを充実させたい」といったお悩みがあれば、お気軽にご相談ください。

よくある質問

Q. 取材の質問は何問用意すればよいですか?

A.1時間の取材に対して、質問状に記載する項目は3〜4問が目安です。実際の取材では相手の回答を掘り下げる追加質問が自然に発生するため、事前設問を増やしすぎると対話が浅くなります。

Q. インタビュー取材のチームは何人必要ですか?

A.編集者・ライター・カメラマンの3名体制が基本です。それぞれが専門分野に集中できる役割分担が、取材の質を高めます。

Q. オンラインと対面、どちらで取材する方がよいですか?

A.対面取材の方が感情や雰囲気を捉えやすく、写真の品質も高くなる傾向があります。ただし、タイムラグへの対応と役割分担などを徹底すれば、オンラインでも同等の原稿品質は実現できます。

Q. インタビュー記事の制作をプロに依頼した場合の費用の目安はありますか?

A. 費用は記事の文字数や企画の内容、撮影の有無などによって異なるため一概には言えませんが、1記事あたり概ね18万〜28万円前後(税別)がひとつの目安となります。

但し、トータルの費用は要件によって変わりますので、まずは目的や対象読者などのご要望をお聞かせいただいた上で、最適なお見積もりをご案内いたします。

この記事について

監修担当プロフィール
佐藤友彦|アーク・コミュニケーションズ 企画開発部 部長

編集者歴25年。大手出版社で雑誌編集に8年間従事したのち、アーク・コミュニケーションズに入社。書籍・雑誌編集をはじめ、企業の広報誌やインナーツールの編集など、幅広いメディア編集に携わる。近年は、一般企業のオウンドメディアにとどまらず、プレスリリースやキャッチコピー、SNSなど発信内容を編集する「編集コンサルタント」としても活動。メディア運営などを通じた定量的な分析からの記事改善にも習熟している。

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