ジャンルを超えたオタク魂が結集!2022年[第10回マンホールサミットin 所沢]

2022年11月19日、待ちに待った[マンホールサミットin 所沢]がついに開催されました。マンホール蓋マニアを観察して早7年の編集者・魚住もジッとしていられません。以前から何度も取材しているマンホーラー・森本庄治さんもトークイベントに出演するとのことで「その勇姿をこの目に焼き付けなければ!」と勇んで出掛けたら、所沢はサミット史上最大の盛り上がりを見せていました。(公開:2022年12月12日)

■第10回 マンホールサミット in 所沢
日時:2022年11月19日(土)10:00~17:00
会場:ところざわサクラタウン、東所沢公園、所沢市観光情報・物産館YOT-TOKO
会場住所:埼玉県所沢市東所沢和田3-31-3
主催:マンホールサミット in 所沢実行委員会(所沢市上下水道局下水道広報プラットホーム(GKP)
協力:埼玉県上下水道局、公益財団法人埼玉県下水道公社株式会社KADOKAWA
協賛:シヤチハタ(株)、(一社)日本グラウンドマンホール工業会、アクアインテック(株)、(株)荒木製作所、虹技(株)、第一機材(株)、(株)トミス、長島鋳物(株)、日本鋳鉄管(株)、日之出水道機器(株)、北勢工業(株)、(株)水島鉄工所

[マンホールサミット]とは、マンホール蓋をこよなく愛するマンホ-ラーたちが、自らのマンホール愛を語ったり、マンホール蓋関連グッズの販売を行ったり、下水道施設の見学などを同時開催したり、マンホール蓋と蓋の先に広がる下水道の世界を堪能できるイベント。下水道広報プラットホーム(GKP)の主催により、地方自治体の上下水道局とともに毎年開催されている。

サミット史上最大の盛り上がり!

新型コロナウイルス感染拡大の影響によって2年連続で延期され、3年越しの開催となった2022年の[第10回マンホールサミット]。過去に何度かマンホールサミットを見てきましたが、関東開催のみ参加なので、私は今回で4回目の参加です。

▲所沢市イルミネーションマンホール「新世紀エヴァンゲリオン」/「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」「ヤマトタケル」(画像は左右にスライドできます)

会場である「ところざわサクラタウン」「東所沢公園」があるJR東所沢駅に降り立って、人の多さと案内札を持つ係員がいることにまずちょっと驚きます。

▲会場案内係/「おトクにマンホール旅」JR東日本×小田原市(画像は左右にスライドできます)

そして何より驚いたのは、会場までの10分間の道のりに設置されたデザインマンホール蓋の数の多さ! 東所沢駅周辺だけで28箇所。これはマニアでなくとも写真を撮りたくなりますよ。

▲所沢市イルミネーションマンホール「涼宮ハルヒの憂鬱」/「文豪ストレイドッグス」/「らき☆すた」「ケロロ軍曹」「宇崎ちゃんは遊びたい!」(画像は左右にスライドできます)

「イルミネーションマンホール」とは所沢市上下水道局が開発したLEDで自発光する日本初のマンホール蓋。下水道のイメージアップ、駅から施設までの道しるべ、新たな観光スポット、夜間の点灯による防犯効果に役立っているとか(「所沢市イルミネーションマンホールガイドブック」より)。

▲所沢市イルミネーションマンホール・ガイドブックには設置場所マップも記載

いやあ、所沢市の本気を見たような気がします。でも、所沢市の本気はこれだけじゃなかったのです。

東所沢公園、ところざわサクラタウンを目一杯使ってのイベントですが、入場料はもちろん無料。東所沢公園の入口にさしかかったところで、公園内のありとあらゆる所で大行列ができているのが目に入ります。そしてみんな心の中でこう思うのです。
「しまった!出遅れた!」

東所沢公園内の無料体験コーナー「マンホール缶バッジづくり」「ぬりえ」「マンホール版画」はどれも大人気。親子連れで参加している人が目立ちます。取材でなければ私もマンホール版画やってTシャツに蓋デザインを刷りたかった。

▲マンホール版画/ぬりえ/缶バッジづくり(画像は左右にスライドできます)

個人的に一番ド肝抜かれたのは東所沢公園の「埼玉県内設置のマンホール蓋展示」。その数なんと85基!

「のだめカンタービレ」(日高市)/「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」(秩父市)/「茶娘」山中梅鉢さん描き下ろし(入間市)/「鉄道むすめ」(久喜市)/「らき☆すた」(久喜市)※画像は左右にスライドできます

公園内に並んだマンホール蓋を眺めたり写真を撮ったりする来場者たち…壮観な眺めでした。これだけでも見る価値あり。すげーよ、埼玉県!

▲(写真左から右へ)飯能市深谷市川越市吉川市日高市(墨絵画家・又野龍也)/羽生市荒川左岸南部三郷市

…と、東所沢公園を抜けて、今度は「ところざわサクラタウン」に足を踏み入れると、これだけ(東所沢公園)で終わりじゃなかったことを思い知らされます。所沢市の本気まだまだ続きます。

この、「ところざわサクラタウン」とは、KADOKAWAさんと角川文化振興財団さんが所有・運営する複合施設。所沢市との共同プロジェクト「COOL JAPAN FOREST構想」の中核施設であり、国内最大級のポップカルチャーの発信拠点です。(「ウィキペディア」より引用)

なるほど! また、新たな聖地巡礼の地が増えました。

「頭文字(イニシャル)D」(群馬県渋川市)/「Roots of Kawaii 内藤ルネ」(愛知県岡崎市)/「落第忍者乱太郎」(兵庫県尼崎市)/「ちびまる子ちゃん」(静岡県静岡市)※画像は左右にスライドできます

先ほど、「東所沢公園でのマンホール蓋展示85基(埼玉県内)」と紹介しましたが、ところざわサクラタウンの角川武蔵野ミュージアム前での「マンホール蓋展示」は全国から集められたもの。先ほどの展示と合わせて合計で過去最大規模の100基超えです。数も驚きですが、何よりもそれぞれのデザインが可愛すぎます。素敵です。キュンキュンします。やっぱりファンじゃなくても写真撮ったり、マンホールカードを集めたくなりますね。コレクター魂ってやつですか?

「火の鳥」(愛媛県松山市)/「建御柱」(長野県諏方湖流域下水 御柱祭)/「スペースシャトル」と「地球」と「筑波山」(茨城県つくば市)/「HELLO KITTY」(東京都多摩市)※画像は左右にスライドできます

そして、今回のマンホールサミットの目玉の一つ「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」のマンホール蓋(2種)との記念撮影スポットです。こちらも大混雑でした。

コチラの会場でも「下水道展示」「マンホールグッズ販売」「大抽選会」「巨大ガチャ」「グルメスポット」の屋台など、とお楽しみがいっぱいで、どの世代が来ても楽しめるようになっています。

「大抽選会」は、会場内5箇所のスタンプを制覇して挑戦できるハズレなしの抽選会。スタンプ制覇しようとスタンプ設置場所にも大行列。

大人気だったのは、「シャチハタ」プレゼンツの「マンホール蓋重ね捺しスタンプ体験」。全部捺さないと完成しない、ありそうでなかった重ね捺しスタンプはマンホールデザインでは初。さすがはシャチハタさん!こちらのブースも大行列が絶えませんでした。

ここで反省しなければなりません。あまりに楽しくて、おまけに見るところが多すぎて、「所沢市観光情報・物産館YOT-TOKO(よっとこ)」に行きそびれてしまったのです。「マンホールカード全種展示」やポケモンのマンホール蓋「ポケふた」パネルと写真が撮れるスポットがあったのにうっかりしていてかなり残念です。

後日の公式発表ではこの日の来場者数は約1万4000人。来場者の多くは家族連れや所沢市民かと思いきや、老若男女、様々なジャンルの愛好家が様々な世代から集まっているのです。マンホーラー(マンホール蓋愛好家)だけでなく、アニメオタク、マンガオタク、ラノベオタク、鉄道オタク(乗り鉄)、バスオタク、地図マニア、気象マニア、カードコレクター、顔ハメ(パネル)マニア、散歩好き、写真好き、オタクまでいかなくても旅行好きな年配者などなど枚挙に暇がありません。

▲マンホール蓋の顔ハメパネルで記念写真を撮ってもらえます(画像は左右にスライドできます)

それぞれの愛好家たちは、一つではなく複合的にオタクを兼ねています。掛け持ちオタクというやつです。鉄道オタクであり消火栓マニアや地図オタクで道路標識オタク、アニメオタクで送電鉄塔オタクと、複雑に重なり合っています。でも、それが楽しいオタクライフなのです。ホントに日本はオタク天国です!

マンホーラーたちの熱き想い!

午後になるといよいよお待ちかねの「トークイベント」ですが、会場のところざわサクラタウン ジャパンパビリオンホールAに入場するには事前抽選の申込が必要でした。申込抽選を勝ち抜けた参加者で客席はぎっしり。客席約650席は満杯でした。

■第10回 マンホールサミット in 所沢《トークイベント》
日時:2022年11月19日(土)13:00~16:30
会場:ところざわサクラタウン ジャパンパビリオンホールA
司会:若狭公一(マンホールサミットin所沢実行委員会副委員長)、横山莉奈(2022ミス日本「水の天使」)
オープニング挨拶:所沢市長 藤本正人氏
リレートーク①所沢市職員②森川あやこ(マンホール大好き! officeアイム代表)③Hole in one(九州産業大学地域共創学部佐藤ゼミ)/④田中美都(気象予報士 (株)ウェザーマップ)/⑤森本庄治(みちくさ学会 マンホール蓋講師)/⑥山本ミッシェール(NHK国際放送局キャスター・リポーター)/⑦傭兵鉄子(マンホール蓋・腐食金属愛好家)⑧白浜公平(駅からマンホール管理人)/エンディング

▲所沢市長は公務で海外出張中なのでVTR出演 with トコろん

トークイベントは、所沢市職員が自ら作成を手掛けたCOOLなオープニングムービーが流れた後、2022ミス日本「水の天使」横山莉奈さんと「マンホールサミットin所沢」実行委員会の若狭公一副委員長のMCコンビが進行します。

こういうイベントを見てきて思うのは、リレートークのトップバッターである所沢市職員さんたち(「第10回マンホールサミットin所沢」の誘致から開催に深く関わった所沢市の歴代職員3名)といい、本日の出演者といい、タレントではない人たちのトーク力が上がってきていること。普通におもしろいのです。もしかしたらYouTubeやイベントによって人前に出ることが増えているせいかも!

マンホール大好きな森川あやこさんは『スケバン刑事』に風間三姉妹とともに出演されていた経験を持つマルチなタレントさん。その当時は「小林亜也子」さんで活動をされていたそう。

「Hole in one」は九州産業大学地域共創学部佐藤ゼミのメンバー。デザインマンホールのPR効果について調査・研究したそうです。大学生がマンホール蓋に素晴らしさを広めてくれるのは嬉しいことです。

▲画像は左右にスライドできます

個人的に大ファンになってしまったのが、NHK総合「ニュースLIVE! ゆう5時」気象コーナーを担当する気象予報士の田中美都さん。彼女は根っからのオタク気質、コレクター気質を持っているようで、「うっかりしてたら集まっていた」というコレクションが多いようです。マンホール蓋の写真も気がつくと撮っていて、お気に入りの気象にまつわるマンホール蓋を披露。私もいつの間にかマンホーラーたちとともに田中美都さんのおっとりした魅力にキュンでした。

▲画像は左右にスライドできます

さて、本日の目的の一つ、私が何度も取材させていただいている森本庄治さんの講演です。森本庄治さんはマンホール蓋愛好ムーブメントがメジャーになるずっと以前からマンホール蓋を愛でてきた方です。マンホールナイト実行委員の一人だったり、様々な活動をしてきたので、私が取材した過去記事(記事末にもリンクあり)もぜひ見てください。

▲画像は左右にスライドできます

この日、みんなが普通に使っていた「マンホーラー」(マンホール蓋愛好家)という呼び方や「ナイスマンホ!」という言葉の生みの親でもある森本さん。好きなことをコツコツとやってきた会社員の森本さんが最近では「マンホール蓋講師」として講演する場面も増えてきたようです。

森本庄治さんの講演。堂々たるその姿は、まるでスティーブ・ジョブズのプレゼンのように思えてきました。かっこいいぞ、森本さん!

▲画像は左右にスライドできます

山本ミッシェールさんはNHK国際放送局キャスター・リポーター。日本のマンホール蓋の素晴らしさを世界に発信してくれています。

▲画像は左右にスライドできます

傭兵鉄子さんは様々なメディアの中のマンホールを探し出して教えてくれます。めちゃくちゃ面白かったのですが、ここで内容を紹介してしまうともったいないほどのネタですので、彼女の講演を追いかけて、観に行ってくださいね。下の写真を見るだけでめっちゃ面白いのが分かります。

▲画像は左右にスライドできます

白浜公平さんもマンホールナイト実行委員の一人。この方なしでは現在のマンホール蓋愛好ムーブメントは語れません。「タモリ倶楽部」にも出演されていてサブカル界隈では有名人。個人的には、こっそり「マンホール蓋愛好界の巨人」と呼んでいます。

▲画像は左右にスライドできます

始まってからずっと客席は笑いが絶えません。時にはハラハラしたり応援したり、そのオタクぶりにビックリしたり。笑って観ていたらあっという間の3時間半でした。

さて、次回の[マンホールサミット]です。来年(2023年)は愛知県岡崎市でお目にかかりましょう!

* * * *

全部ではないですが、マンホールサミットに何度か足を運び、マンホール蓋愛好家の取材もしてきた身としては、この日の盛り上がりはしみじみと感動するものがありました。
彼らが地味にコツコツと活動していたオタクムーブメントが花開いたのを目の当たりにした気がして、ジーンとしてしまいました(もうとっくに開花していたけどね)。

▲今回のサミットの目玉は「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」マンホールカード(日本語版/英語版)の配布

「好き」な物を愛でること。ビジネスでもお金でも何かの目的があるわけでもなくやってきたことが認められて、大きなうねりになって町や人を動かしていく。多分、報酬は結果に過ぎず、きっとこれからもマンホーラー(マンホール蓋愛好家)たちは大きな目的もなく、ただただマンホール蓋を愛していくのでしょう。

もちろん、ムーブメントを続けていくためにはビジネスと絡めていくのも大切な要素かもしれません。マンホール蓋愛好家たちの第二章はもう始まっているのです。

▲実際に設置されている「シャア・アズナブルとザク」デザインのマンホール蓋

■ところざわサクラタウン
住所:埼玉県所沢市東所沢和田3-31-3
URL:https://tokorozawa-sakuratown.com/
■所沢市観光情報・物産館 YOT-TOKO(よっとこ)
住所:埼玉県所沢市松郷143-3
URL:https://yot-toko.jp/
■東所沢公園
住所:埼玉県所沢市東所沢和田3-9

■「アークのブログ」では過去にもマンホール蓋愛好家の活動を取材しています!

 外国人観光客も驚く[マンホール蓋]の芸術性とそのムーブメント(2015年10月9日)
「マンホールサミット2016 〜マンホールカードはじまるよ〜」(2016年4月20日)
 マンホールカード集め&カードの仕掛人にインタビュー!(2017年1月13日)

●文・撮影・編集・WordPress= 魚住陽向編集者小説家