[公開:2025年5月12日]

「質の高いコンテンツを作りたいのに、思うような成果が得られない…」
「ライターに依頼したけど、イメージと違う原稿が上がってきた…」
「社内リソースだけでは継続的なコンテンツ制作が難しい… 」
こういった課題を抱える企業のマーケティング担当者や広報、企画担当者は少なくありません。コンテンツ制作を外部に依頼する際、どこに依頼すべきか、ひいては本当に外注すべきかは悩みの一つにもなります。
今回は、コンテンツ制作の現場で、編集プロダクションが果たす重要な役割について深く解説していきます。マーケティングの責任者、企画担当者、広報PRの方々に、外注先選びの際の参考にしていただければ幸いです。
コンテンツを外注する際の基本的な考え方
編集プロダクションに依頼するべきか、それともライターに直接依頼した方がよいのかは、求める成果の質、もちろん予算によっても変わってきます。
特にロケが必要だったり、構成が複雑だったりするコンテンツを制作したい場合、編集者や編集プロダクションの存在は欠かせません。編集者は単なる執筆者や校正者ではなく、コンテンツの全体設計から取材時のディレクション、品質管理までを担う重要な役割を持っています。
編集者を入れる最大のメリットは、ライターやデザイナー、イラストレーター、カメラマンへの上手な発注ができること。

ここでいう『発注』とは、クライアントの要望を理解した上で、それを実際に形にするための明確な指示出しを意味します。
うまく発注ができなければ、いくら優秀なライターやデザイナーがいても、よいアウトプットはなかなか生まれません。
制作する際の一般的なプロセスと役割分担
ここで、コンテンツ制作のプロセスを見てみます。 インタビュー記事を例にとると、制作の流れは主に以下のようになります。
- インタビュイーの選定・アポイント取得(編集者の役割)
- 質問案の作成(編集者とライターの共同作業)
- インタビューの実施(編集者とライター、カメラマンの共同作業)
- 構成案の作成(編集者の役割)
- 執筆(ライターの役割)
- 原稿のブラッシュアップ(編集者の役割)
プロセスの中で、編集の役割は様々ですが、ここで注目すべきは、「構成案の作成」を編集者が担当することです。構成案とは発注内容そのもので「どのような記事を作りたいのか」というリクエストをライターに伝えるための重要な指示書になります。
構成案なしでは正しい発注ができません。いい構成案があれば、ライターが迷うことなく執筆することが可能です。弊社の場合、構成案の作成は、ライターの仕事ではなく編集者の仕事という考え方です。
編集者を通さずにライターに直接依頼すると、ライター自身が構成案まで作成することになりますが、これは業務分担が異なり、必ずしも最適な結果につながるとは限りません。
編集者とライターの本質的な違い
編集者とライターでは、見る視点や思考のフレームワークが根本的に異なります。
編集者は「俯瞰的視点」を持ち、コンテンツ全体の設計図を描くプロフェッショナルです。読者のニーズ、クライアントの意図、市場のトレンド、Webコンテンツであれば、一部SEOの観点など、様々な要素を総合的に考慮して構成を組み立てます。
さらに、コンテンツがどのような文脈で読まれるのか、どのようなアクションにつながるべきかといった戦略的な視点も持ち合わせています。
編集者はフレームで物事を捉えていくのが得意です。大きい塊として、この流れがいいよねというように考える。クライアントのニーズも読者のニーズも見ながら大きい流れを作っていきます。

一方、ライターは「深掘り型の視点」を持ち、与えられたテーマについて深く掘り下げて表現するプロフェッショナルです。テーマに関する知識や表現力を駆使して、読者を引き込む文章を書くことに長けています。
また、編集者を介する大きなメリットとして、ライターから上がってきた原稿を編集者は最初の読者としてチェックするということ。そのチェックの後に原稿が納品されるので、後々の修正量も減るはずです。

編集者ならカメラマンやイラストレーターのアサインもできる
もうひとつ、大きな違いがこの点です。
制作する記事によっては、撮影やイラスト、図版が必要なこともあります。この場合は、カメラマンやイラストレーターといった外部スタッフをアサインしますが、編集者はそういったネットワークを持っていることが売りです。
また、取材現場でのカメラマンへの指示出しや、イラストレーターに発注するためのラフ作成なども編集者が行います。
外注先の比較とそれぞれのメリット・デメリット
ここで、コンテンツ制作の外注先として、編集プロダクション、フリーランス編集者、ライターに直接依頼の三つの選択肢を比較してみましょう。
メリット | デメリット | 適した案件 | |
---|---|---|---|
編集プロダクション | 複数の専門スタッフによる総合的な品質管理、継続的な対応力、幅広いジャンルへの対応、チーム体制による安定したサポート、カメラマンやイラストレーターのアサイン、発注が可能 | 比較的コストが高い、小規模案件には過剰な場合も | 複数メディアでの展開や長期的なコンテンツ戦略が必要な場合、品質重視のプロジェクト |
フリーランス編集者 | 編集プロダクションよりコストを抑えつつ、編集視点を確保できる | 一人で対応できる量に限りがある、得意ジャンルが限られる場合も | シンプルな単発記事、特定ジャンルに特化した記事 |
ライター | コミュニケーションが直接的、シンプルな記事では効率的、コスト効率がよい場合も | 多角的な視点での構成設計が難しい場合がある、クライアント側で具体的な構成指示が必要になることも | 明確な指示がすでにある単発記事、内容が固定的な定型記事 |
このように、外注先にはそれぞれ特性があり、プロジェクトの規模や目的によって最適な選択は違います。大量のコンテンツが同時期に必要だったり、品質を優先する案件では編集プロダクションの総合力が活きる一方、明確なテーマがあり構成がはっきりしている単発記事なら、編集者を介さずにライターに直接頼んでも、うまくいくことがあります。
重要なのは、単にコスト面だけでなく、求める成果の質や継続性、社内リソースの状況などを総合的に判断することです。特に長期的なブランド醸成を目指す場合は、一貫性のある高品質なコンテンツ制作を可能にする編集プロダクションの価値が発揮されます。
発注時の「構成案」 「タイトル」 「リード」の重要性
コンテンツ制作の外注において、「構成案」は成功の鍵を握ります。それに加えて、編集者が「タイトル」と「リード」まで作成することができれば、さらに原稿の精度はアップします。リードはタイトル直後にある導入文のことです。

構成案の品質がコンテンツを左右する
編集者は「フレームで物事を捉える」ことを得意としています。大きな流れを設計する際、クライアントのニーズや読者のニーズ、さらには社会的な視点など、多角的な視点を取り入れながら構成を組み立てます。言わば、鳥の目で全体を見渡すことができます。
編集者の構成は、大きな流れを作る際に、クライアントのニーズも読者のニーズも見ながら作っていきます。一般論ですが、編集者は読者を含めた様々なステークホルダーのことを気にしながら、それらを行ったり来たりしながら、構成に落とし込んでいきます。

ライターは書くことのプロフェッショナルなので、構成案をベースにして書くことに専念してもらったほうが、最終的にはよいアウトプットになることが多いといえます。
クライアントにとっての構成案の重要性
構成案があれば、クライアントにとっても好都合です。
構成案があることで、制作の初期段階でコンテンツの方向性を確認でき、完成後の大幅な修正リスクを減らすことができます。
これは時間とコストの削減にもつながり、特に納期が厳しいプロジェクトでは重要な要素となります。また、構成案を通じて制作者との認識のずれを早期に解消できるため、期待通りの成果物が完成する確率も高くなります。時間がないときこそ、構成案が重要です。
「タイトル」「リード」があるとライターは迷わない
構成案も大切ですが、「タイトル」「リード」も重要です。これらは、正確な方向性とトーンをライターに伝えてくれます。「リード」まで書けていれば、ライターは迷わず書くことができ、結果的に原稿修正も格段に減ります。

時と場合によりますが、タイトルとリードまでは編集者が書いた方がスムーズです。『これについて、ここまで、この粒度で語る記事だな』『このトーンとマナーでいくんだな』といったことが効率的にライターに伝わります。

どうしても編集者に依頼する余裕がないときは、発注者自身でタイトルとリードだけでもしっかり固めるのもひとつの方法です。こうすれば、”構成案なし”でのライターへの直接発注でもうまくいくケースもあるので、ぜひ試してみてください。特に、リードは全体構成が透けて見えるのでかなり重要です。
編集プロダクションと連携する際のポイント
編集プロダクションの持つ組織的な強みを最大限に活かすためには、依頼する側としてもいくつかのポイントを押さえておくとよいでしょう。
初回の打ち合わせでは、現状の課題や参考資料、制約条件などを率直に共有しましょう。「なぜそうしたいのか」という背景情報も伝えると、より本質的な提案が期待できます。
編集プロダクションに頼むことで難しいのは、自分が何を伝えたいのかを理解してもらうこと、と考える方もいらっしゃいますが、実はその伝え方自体をサポートすることも私たちの業務の一つです。
案件を説明する方法にお悩みでしたら、むしろその悩みから率直に相談してみてください。

継続的な連携では、具体的なフィードバックや成功要因の分析、市場の変化などの情報共有が重要です。この点についても、どのようなフィードバックが有効かわからない場合は、編集プロダクション側から適切な質問やフォーマットを提案してもらうことができます。

発注側として『こうあるべき』と完璧に準備する必要はないのです。編集プロダクションは発注段階からのパートナーとして、何をどう考えるべきかの道筋を立てるところからサポートさせていただきます。
コンテンツ制作を外注する成功の秘訣は編集者との連携から
コンテンツ制作の外注は、どのようなパートナーと組むかが最終的に品質を大きく左右します。特に編集プロダクションの役割は想像以上に大きく、単なる文章の推敲にとどまらず、企画から発注、品質管理まで、コンテンツの成否を左右する重要な存在です。
個人の編集者では担いきれない組織的なサポート力や、安定した品質の提供が、高品質なコンテンツ制作を継続的に実現するカギとなります。

よい発注というのは、じつは「かなり難しくて、手間がかかる」ものです。
編集者、編集プロダクションにコンテンツ制作を依頼していただくことは、長期的に見れば効率的で質の高い成果物を生み出し、ブランド価値の向上にもつながります。
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