日本画のオーナーになって、世界堂で額装してもらいました!

こんにちは編集者(たまに小説家)の魚住陽向です。2017年12月、ある若手日本画家のファンになりました。あまりに気に入ったので、思い切ってその作家さんの絵のオーナーになったのです。そして、購入したその絵画を額装(額縁に入れて表装すること)してもらいました。なかなか「オーナーになって額装する」なんて経験はないと思いますので、今回はその体験談をお話しします。(公開:2018年3月23日/更新:2022年3月27日)

▲「full moon」 購入した絵ではないけどお気に入りの一作

プロフィール 布施月子(ふせ つきこ)
1987年 東京都生まれ。神奈川県逗子市に育つ。
2010年 多摩美術大学 首席で卒業。日本画を学ぶ。
instagram:https://www.instagram.com/fusetsukiko/
Twitter:https://twitter.com/fusetsukiko

日本画家・布施月子作品との出会い

元々、高校生の頃から絵画を鑑賞するのは好きでした。当時好きだった日本のロックバンド「四人囃子」の名曲「レディ・ヴァイオレッタ」が、一枚の絵からインスパイアされてできた曲と知り、その絵を描いたマックスフィールド・パリッシュにハマっていったのです。マックスフィールド・パリッシュはポスターや挿絵なども積極的に描いた、「パリッシュ・ブルー」が印象的なアメリカ人画家。古き良きアメリカを描く有名な画家、ノーマン・ロックウェルに影響を与えた人です。もう一人、日本を愛した明治初期の画家ロバート・フレデリック・ブルームも大好きです。さて、私の個人的なアート鑑賞スペックをお知らせしたところで、いよいよ本題です。

▲画像は左右にスライドできます(PCの場合、写真左右にある矢印をクリック)

2017年12月、友人に誘われてオープンして間もない浅草のギャラリー「Sense of Wonder」に行きました。そのギャラリー内に飾られていた、動物たちを描いた日本画を観て、衝撃を受けました。日本画と聞いて、「掛け軸」とか「水墨画」っぽいイメージを抱いていたので、良い意味で意外に思ったこともありましたが、それより動物たちの感情が伝わってくる素晴らしい絵画だったからです。
「動物たちも夢を見ている!」そう強く感じました。私は彼女の絵が大好きになり、レプリカでもいいから欲しくて欲しくて仕方がなくなったのです。

▲画像は左右にスライドできます(PCの場合、写真左右にある矢印をクリック)

彼女の名は「布施月子」。現在30歳ですが、日本画やアートの世界では若手画家です。
アートに馴染みのない人間からするとテレビの鑑定番組の影響から、画家の作品はとても高額だと思い込んでいます。私もそうでした。ところが思ったよりも高額ではありません。現在の自分の懐を考えても手の届く範囲。「もっと高く値を付けても全然構わないのに…こんな素晴らしい絵を安売りしちゃいけないよ…」と思ったほどです。

▲画像は左右にスライドできます(PCの場合、写真左右にある矢印をクリック)

私が購入した絵は二枚。「blue cat」と「red cat」です。それぞれが1万円(+税)。なんてお手頃なんでしょう! これで、私の人生が豊かなものになるのです。そして、私は初めて日本画のオーナーになりました。

▲左:「red cat」 右:「blue cat」

お金のことばかり言うと興ざめかもしれませんが、これは大切なことです。芸術、アートや若い才能を支える意味でもお金を出すことは重要で、決して汚らわしいことではありません。「パトロン」は日本ではなかなか根付かない文化ですが、ヨーロッパでは古代から美術・音楽の分野を支えてきた立派な支援者・後援者のことです。低収入の私がパトロンというと大げさですが、みんなに知ってもらえるよう紹介して、応援したいと思っています。それに、芸術以外でもパトロンはできます。ちょっと意味合いは違いますが…後援者になるということで、自分の好きな音楽やマンガはちゃんと購入するということです。

▲「portrait Ⅰ」

後日談です。個展終了後も布施月子さんの日本画は浅草にあるギャラリー「Sense of Wonder」に数点展示されていました。ある日のこと、1人の外国人観光客がふらっとギャラリーに入ってきて観て回り、出て行ったと思ったら、しばらくして戻ってきたのです。
「やっぱり気になって仕方がなくなったから」…その人は「portrait Ⅰ」(写真上左)という猫の絵を購入していきました。観光に訪れた地で小さなギャラリーにふらっと入り、気に入った絵を購入する……なんて良い文化でしょう。別にお金持ちではなくても芸術に対して身構えることなく、身近な生活の中に絵画があるということでしょう。現在、月子さんの猫は海を渡り、60代ぐらいのアメリカ人女性の部屋に飾られています。

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