編集部のナモセです。
編集の仕事をしていると、
ライターさんの原稿を読んだり、
あるいは自分で原稿を書いたり、
といった作業が日常的にあります。
そこで気になるのが「日本語の間違い」。
たとえば、「アボガド」は間違いで「アボカド」が正しい。
「バングラディシュ」は間違いで「バングラデシュ」が正しい。
といった語句の間違いがあります。
こういった例はすぐに正誤の判断ができるので、
悩むことはないんです。
しかし、なかには「間違ってるの?どうなの?」と
判断に困るものもあります。
例えば「愛想を振りまく」という言い回し。
これ、一般的には誤りとされているんですね。
正しくは「愛嬌を振りまく」です。
新聞記者が参照する記者ハンドブック(第12版)の
「誤りやすい用字用語・慣用句」にも
誤りやすいことばの例として載っています。
また、大辞林を引くと、
「愛嬌を振りまく」は用例として載っていますが、
「愛想を振りまく」は載っていません。
ちなみに広辞苑を引いてみると、
「愛想を振りまく」も「愛嬌を振りまく」も載っておらず、
代わりに「愛敬を振りまく」が載っていました。
「愛敬を振りまく」……。
うーん、あまり見かけないような気もしますが。
そんなわけで、「愛想を振りまく」は
誤りとされているのですが、
「いや、『愛想を振りまく』も間違いではないよ」
というご意見の方もいらっしゃいます。
「愛想を振りまく」は使われないか
こちらは日本語学者の方のブログですが、
「愛想を振りまく」も以前から使われて来たことを
具体的な例を挙げて解説されています。
実際、『愛想を振りまく』って
ごく普通に使われることばですよね。
こういうのを読むと、
「なるほど、やっぱり使ってもいいじゃないか!」と思うわけです。
が、しかし。
この言い回しを間違いだと思う方が一定数いるのも事実。
下手に使ってしまうと、読者の方に
「この文章、日本語がおかしい」と思われるリスクもあるわけで、
やはりこうしたグレーな言い回しは
避けたほうがよいな、と思い直し、
結局は言い換えてしまいます。
まあ、編集者が直さなくても、
直すことになるんですが。
いやー、ことばって難しいですね。