イチョウを愛でながら日本酒を飲み比べる『黄葉見SAKE2015』に行ってきました

大通りのイチョウ並木も色づく時期に東京・千代田区で晩秋を楽しむイベントが行われました。今年で2回目となった『黄葉見SAKE(こよみさけ)』は日本酒飲み比べと和食を味わうイベント。靖國神社の美しいイチョウ並木を愛でながら日本酒と全国の郷土料理を堪能できるとあって、かなりの賑わいぶりでした。ライトアップされた夜のイチョウ並木も大人気です。今回は、昼と夜で別の楽しみ方ができる『黄葉見SAKE2015』を、「ライトアップ点灯式」とあわせてレポートします。(公開:2015年12月25日/更新:2022年3月19日)

※このイベントは終了しました
■黄葉見SAKE2015
[日時]2015年11月24日(火) 〜28日(土) 12:00〜21:00
[会場]靖國神社参道 イチョウ並木(東京都千代田区九段北3-1-1)
[入場料]無料
[主催]黄葉見SAKE2015運営委員会
[共催]一般社団法人 千代田区観光協会
[後援]千代田区、東京都、農林水産省、国税庁、一般社団法人 和食文化国民会議、日本酒造組合中央会、TOKYO MX

イチョウ並木のライトアップにうっとり

2014年に始まり、2回目となる『黄葉見SAKE2015』。このイベントは東京の靖國神社参道で、晩秋のイチョウ並木を愛でながら日本酒とおいしい和食を堪能できるというものです。出品された日本酒は全国各地から276銘柄で、国内開催の日本酒飲み比べイベント中、全国最多の出品数。会場には「和食の日」特設ブースや日本各地の物産品の販売・試食ブースも並んでいると聞くと、もう日本酒好きはじっとしていられないはずです。

おいしい日本酒や和食も楽しみですが、靖國神社参道に一歩入るだけで魅了されるのはやはりこのイベントの主役であるイチョウ並木です。イベントスタートの11月24日日没からイチョウ並木のライトアップも始まりました。参道の両側で色づくイチョウ並木がライトに照らされて、幻想的な黄金色に輝きます。これには会社帰りに立ち寄ったスーツ姿のお客さんたちもどよめいていました。イチョウの黄色は一色ではないんですね。微妙な黄色、黄金色、黄緑色が入り交じって、荘厳な雰囲気を漂わせます(靖國神社参道のイチョウ並木のライトアップ自体は12月5日まで実施されました)。

この日盛り上がったのは、大村益次郎銅像前特設ステージで行われた「ライトアップ点灯式」。「鏡開き」や「特殊切手・和の食文化シリーズ第1集のお披露目、贈呈式」「和食の日・ステージイベント」などのプログラムで気分が高揚してきます。特に「ステージイベント」の「ミス日本酒と日本酒クイズで盛り上がろう!」では、クイズに正解すると景品がもらえるとあってお客さんも大張り切り。この夜は風が強くて少し寒かったですが、皆さんほろ酔いで盛り上がり、ホットなライトアップ点灯式になったようです。

▲画像は左右にスライドできます(PCの場合、写真左右にある矢印をクリック)
:「2014ミス日本酒」の森田真衣さん。選ばれた時にはネットで「一升瓶似合うわーw」「一緒に呑んでて楽しそう」と話題に。森田さん曰く「話題になって嬉しかったですよ」と笑顔。器の大きいミス日本酒さん。:お髭がダンディな日本酒造組合中央会の増田德兵衛さん。「清酒 月の桂」醸造元の増田徳兵衛商店十四代目でもあります。:酒樽の鏡開きで式典の雰囲気も盛り上がります。:德兵衛さんと真衣さんコンビは日本酒クイズ大会のMC。

昼間からほろ酔い——日本酒飲み比べ

昼夜限らず、このイベントではお客さんがまずチケットカウンターにて「日本酒飲み比べチケット」(2000円)を購入すると「銘柄リスト付きペーパートレー」とお猪口2個が渡されます。これで276銘柄の中から5杯を選び、試飲できるのです。これは日本酒好きにとっては非常に難しい選択です。「5杯になんて絞れない」「どれも飲んでみたい」「全部試したい!」と思われたあなた。よく考えるとお得なんですよ。飲み屋さんで飲むとこんな値段では済みません。何よりこんなに日本酒の銘柄が揃っている飲み屋さんもそうそうないと思います。選びきれない人やもっと飲みたい人は、改めてチケットを購入すればいいのです。

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:トレイがあるからこのまま各ブースに移動できて便利。:お猪口は持って帰れます。:飲み比べブースにてナンバーを言えばお猪口についでくれます。

《全出品276銘柄のほんの一部》 ※順不同/( )は蔵元名
[岩手]あさ開(あさ開)、南部美人(南部美人)/[宮城]浦霞(佐浦)、一ノ蔵(一ノ蔵)/[秋田]新政(新政酒造)、山本(山本合名)、まんさくの花(日の丸醸造)/[山形]銀嶺月山(月山酒造)、麓井の圓(麓井酒造)/[福島]弥右衛門(大和川酒造)/[茨城]武勇(武勇)/[埼玉]ひこ孫(神亀酒造)/[神奈川]いづみ橋(泉橋酒造)/[新潟]上善如水(白瀧酒造)/[石川]長生舞(久世酒造店)/[富山]満寿泉(桝田酒造店)、成政(成政酒造)/[山梨]春鶯囀(萬屋醸造店)/[長野]水尾(田中屋酒造店)、御湖鶴(菱友醸造)/[静岡]開運(土井酒造場)、正雪(神沢川酒造場)/[京都]月の桂(増田德兵衛商店)、京の春(向井酒造)/[兵庫]龍力(本田商店)/[奈良]生酛のどぶ(久保本家酒造)/[島根]出雲富士(富士酒造)/[山口]獺祭(旭酒造)/[佐賀]東一(五町田酒造)

全国からおいしいものブースも集結

日本酒によく合う郷土のおいしい物も目白押しの『黄葉見SAKE2015』。全国からおいしいものを知ってもらおうと各地の名産・物産が出店し、靖國神社参道をいい匂いでいっぱいにしてくれました。焼きたて熱々の牛タンや豚串焼きを頬張り、おでん、牛すじ煮込みや芋の子汁で温まりたいお客さんが大行列。鮎の塩焼き(あがらしゃれ真室川)は地元以外ではもうここでしか食べられなさそう。おじさんの山形弁はよく分からなくてもその笑顔を見ると心までほっこりします。

今回、大人気だったのは「こがしん」のお好みたい焼き(大阪観光局認定グルメ第1号)。たい焼きの中にお好み焼きが入っていて、おやつにも食事にも酒のつまみにもなります。さすがは食い倒れの大阪から来てくれただけあり、うまいです。また「和食会議」(一般社団法人 和食文化国民会議)ブースでは和食をもっと深く理解してもらおうと猛アピール! 和食の基本「だし」がきいたお吸い物、おいしかったです。もし万が一、日本酒が飲めない方でも全国のおいしいものだけで十二分に満足できますよ。物産展マニアにもオススメです。

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《主な物産コーナー》 ※順不同/( )は取り扱い商品の一部
[宮城県]石巻市 希望の環(石巻十三直送の殻付ホタテ焼き、塩蔵わかめ、木の屋石巻水産の缶詰など)、タパスバルSANRIKU(カキのオリーブ漬け、ホタテの貝柱、いくらの醤油漬けなど)/[福島県]ふるさとマルシェ(ウニの貝焼き、さんまのポーポー焼き、牛串など)/[秋田県]トラ男(新米食べ比べ3種セット、お試しサイズ3合パックなど)、五城目ラズベリーショップ(ラズベリージャムとチーズの盛り合わせなど)/[山形県]あがらしゃれ真室川(鮎の塩焼き、芋の子汁など)/[東北]仙薹屋(牛タンなど)/[群馬県]月夜野びーどろパーク(月夜野ビールなど)/[埼玉県]秋田料理 伊勢や(きりたんぽなど)/[福井県]福井料理鯖街道/晴れる家(焼鯖寿司、へしこ、焼き牡蠣、地ビール、ワインなど)/[東京都]チーム・シェフ(有名シェフ5名による1日ずつのおでん屋台)/[神奈川県]牛すじ えびす(黒牛すじ煮込み、黒牛すじ丼、岩タコの唐揚げなど)、宇佐見麦酒(USAMIゴールデンエール、USAMIセゾンなど)/[千葉県]ソフトシェル倶楽部(ホンビノス貝の焼き物・汁物など)/[山梨県]サドヤワイナリー(ワイン各種など)/[石川県]石川県観光物産実行委員会(能登豚串焼き、金沢ウインナー焼きなど)/[大阪府]こがしん(お好みたい焼き、ベーコンエッグたい焼きなど)、チョウザメ料理YUMMY DERI(キャビアフィッシュ燻製など)/[兵庫県]もし農〜もしも都会の女子社員が日本で農園を開いたら〜(朝来市特産 岩津ねぎ焼き®、ねぎ豚汁など)

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『黄葉見SAKE2015』は今年も大いに話題となり、大盛況のうち終了。聞けば、5日間で約8000人の来場者があったようです。何気なく通り過ぎていた都会のイチョウ並木がこんなにも美しい風景になることを教えてもらいました。東京・千代田区と地方とのつながりも強く深くなっていきそうですね。入場するともらえる「公式2次会MAP」も新たな飲食店を知るのに大いに役立ちそうです。

「残念ながら今年は行けなかった」「こんなにステキなイベントがあるなんて知らなかった!」という人もFacebookページ『黄葉見SAKE2015』でイベントの様子を見ることができますよ。次回の『黄葉見SAKE』はぜひ、日本酒と和食を楽しんでください。2016年秋、靖國神社参道の美しいイチョウ並木の下でお会いしましょう![お問い合わせ]黄葉見SAKE2015 運営委員会

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●文= 魚住陽向フリー編集者、小説家
●撮影協力=上條弥恵/●編集=大山勇一