鼻炎も、カレーうどんも研究テーマに?! 優秀作品から学ぶ、自由研究を“自由に”楽しむ方法(2022年リンク)

こんにちは。編集第1グループの上條弥恵です。編集5年目、教育情報誌の編集を担当しています。今、一番ほしいものは、“昔ながらの雰囲気の丸いちゃぶ台”。ちゃぶ台情報募集中です。(公開:2015年7月21日/更新:2022年3月8日)

子どもの素朴な視点に脱帽! 優秀な自由研究を紹介しているサイト

そろそろ小学生は夏休みに突入ですね!
夏休みの宿題と言えば、大きいのが自由研究。でも、この“自由”というのが意外と難しいもの。毎年、何をやればいいのか悩む家庭も多いのではないでしょうか。そんなときに参考になるのが、自由研究コンクール等で表彰された優秀作品です。毎年、さまざまな企業や団体によって小中学生向けの自由研究コンクールが開催されています。今回は、そうしたコンクールの過去の入賞作品が紹介されているサイトをピックアップ。子どもたちの自由な発想やセンスが光る自由研究が満載です!

全国小・中学生作品コンクール

文部科学省など、さまざまな団体の後援のもと、毎年行われているコンクール。科学の自由研究だけでなく、「生活科部門」「英語部門」「パソコン部門」などもあります。
特に興味深かったのは、2014年度に理科部門で入賞した、「私の鼻の天気予報」という作品。

作者は当時小学5年生の女の子。耳鼻科の先生に「気圧の影響による鼻炎」と診断されたことをきっかけに、1か月にわたり、「毎日の気圧の変化と自分の鼻の調子」を丁寧に記録したものです。「自分の鼻の調子」って、とても身近な問題ですが、それを自由研究のテーマにするという発想はなかなか出てきませんよね!

「科学の芽」賞 — 筑波大学

筑波大学が実施するコンクール。同大学の前身の東京教育大学の学長を務めた、ノーベル物理学賞受賞者・朝永振一郎博士の功績を称え、それを後続の若い世代に伝えていくとともに、科学への関心を育てることを目指しています。こちらのサイトでは、実際に入賞者が制作した、写真やスケッチ入りのレポートを、すべてPDFで見ることができます! レポートの書き方の参考にもなりますね。

ここで注目したのは、2014年に小学生部門で入賞した「吸い付く水と戦って浮きゴミをうまく取る方法」です。

作者はメダカを飼っていて、水槽を掃除するときに、浮いているゴミを取るのに苦労していたそう。そこで、ゴミをうまく取るためにはどうすればいいのか?を検証。ゴミを取るのに最適な水質を保つ方法(水草やポンプの有無など)、ゴミをつまむのに使用する箸の素材、箸を水に入れるときの角度などを丁寧に分析しています。
「大事に飼っているメダカの水槽をきれいにしたい!」という素直な願いから始まった研究ですが、表面張力や毛細管現象といった科学の勉強にもしっかりとつながっています。

自然科学観察コンクール

自由研究|自然科学観察コンクール(シゼコン)

昭和35年から続く、伝統あるコンクールです。研究の手順、仮説の立て方、使用した道具などが、詳細に紹介されている作品も多いので、「調べたいテーマはあるけど、どうやって調査すればいいかわからない」という人にも、参考になるのでは。

こちらも、ユニークな視点の研究がいっぱい。

バスケットボールのシュートの研究〜どうしてネットはひっくり返るのか〜

チューブ入り軟膏を絞り出すと曲がって出てくるのはなぜか

カレーうどんの汁はなぜ飛ぶのか?

なぜしゃもじにボツボツがあると御飯がつかないのか

どれも、普段は当たり前のこととして、気にもとめていなかった現象なのに、「こんな風に自由研究のテーマとして広げることができるんだ!」と感心させられます。

また自然科学観察コンクールでは、「継続研究奨励賞」という賞が設けられているのもあり、同じテーマを数年かけて研究しているものも多く見られます。たとえば、小学校2年生から中学3年生までの8年間、一貫してカニの脱皮について研究していた子も!

子どもの自由な発想を大切に

自由研究のテーマを考えるとき、親としては「うまくまとめられるのか?」「宿題の提出期限に間に合うのか?」といったことが気になるところ。そのため、短い時間で手軽にできるものや、見栄えの良いものをやらせようと思い、結果として親の考えたテーマを子どもに押しつけてしまうことも少なくないと聞きます。

しかし、これらのサイトを見ていると、子ども達の発想の自由さに驚くとともに、研究のきっかけは生活の中にたくさんあるのだと感じます。些細なことでも、真剣に調べてみれば学べることはたくさんあり、なんだって自由研究のテーマになり得るのです。

もし、子どもから「今年は、“ラーメンのおいしさ”について研究したい!」と言われても、すぐに「無理! どうやって研究するの?」とか、「そんなの“自由研究”っぽくない!」と否定してしまうのではなく、どうやったらできるのか? 一度、前向きに検討してみてもいいかもしれません(自分ができるかというと不安ですが……)。

研究テーマを考える際には、親子でこれらのサイトを見ながら、「この実験楽しそう!」「自由研究ってこういうのもありなんだね!」などと話してみるのもオススメです。子どもたちのすばらしい作品を見ることで、可能性がより広がるのではないでしょうか。子どもの「知りたい!」と思う気持ちを大切に、夏休みの自由研究を親子で楽しんでください!

●文 = 上條弥恵
●編集 = 大山勇一